農業協同組合新聞 JACOM
   
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JA全国青年大会の発表から(要旨)  (2/16)

 今年のJA全国青年大会では、農業の嫌いな青年が家に戻って個人ブランドの野菜づくりに打ち込んでいるという報告が「JA青年の主張」で、また川の浄化や森づくりへと環境保全に活動を広げている青壮年部の報告が「JA青年組織活動実績」で、それぞれ最優秀発表に選ばれた。その内容の要旨を紹介する。

◆逃亡劇をくり返して 農業が楽しい仕事に

石橋利之さん
石橋利之さん

 「JA青年の主張」最優秀賞
福岡県・JA筑紫青壮年部
石橋利之さん

 農家に生まれたが、農業が嫌いで、逃亡劇を2度くり返した。しかしJA青年部の先輩の家で、親の指図通りに農業をしている先輩の姿を見て、自分が親に対して不平不満ばかりをいってきた甘えを客観的に見つめ直し、家に戻った。
 直売でお客の声を聞くうちに、農業という労働が消費者の笑顔をつくる楽しい仕事に変わってきた。
 有機認証を受け、作物にJASマークをつけた。さらにスーパーやデパートへ営業に回り、やっとのことで1店との契約にこぎつけた。しかし売行き不調で不安な納入を続けた。
 しかし徐々に客がついてきたため、最初は有機野菜を軽視していた店長も半年後には、私の野菜を売場のメインにしてくれた。
 今では有機だけでなく一般野菜も「石橋君の野菜」というブランドで販売されている。
 私の作物には人生のストーリーがある。そこには消費者、青年部、JAなどとの関わり合いがある。これからも、そうした関わり合いを大切にしていきたい。

◆農業廃棄物に衝撃  環境保全運動広げる

JA土佐香美青壮年部の活動を発表した西村学さん
JA土佐香美青壮年部
の活動を発表した西村学さん

 「JA青年組織活動実績発表」千石興太郎賞
高知県・JA土佐香美青壮年部
発表者・西村学さん

 水産資源の宝庫であり、生活用水や農業用水なども供給してくれる物部川の一斉清掃を始めた3年前、農家の捨てた空の肥料袋を見つけ、青壮年部員たちはショックを受けた。
 漁協の人からは「農業用水の排水口はどこも、こんな状態だ」との説明を受け、みんなは、ただ、うつ向くばかりだった。
 その後、私たちは漁協が主催する川の浄化運動を支援し、協力団体も婦人会やスポーツサークルなどへと広がった。しかし昨年の清掃でも、まだ農業廃棄物が見つかっている。
 一方で、私たちは上流の森の植林や間伐にも乗り出した。森の保全は、豊かな保水力、水資源を生み、農業者にとっても、かけがえのない命の水となる、という考え方からだ。
 私たちは従来の青壮年部の運動の枠にとらわれず、大きな視野で活動していくことにしている。
 今年は物部川を遡上する天然アユが増えた。今後は他団体との協同できれいな川を拠点にしたグリーンツーリズムを構想している。

(2005.2.16)


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