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企業・家計の経済調整を分析 農中総研がレポート (2/22)

 戦後日本の発展を支えた経済システムが転換期を迎えたバブル崩壊後、企業や家計は様々な調整を迫られたが、そうした対応を分析した「日本経済の構造変化と企業・家計の対応」というレポートを農林中金総合研究所が2月22日発表した。
 要旨によると、02年以降の景気拡大は、循環的な回復が底流にあるものの、企業や家計が環境変化に対応してきたことにともなう好影響が徐々に出始めている可能性も高いとしている。
 企業部門では、リストラ一辺倒から、徐々に正常化への動きも見られる。財務指標が大きく改善し、景気回復との相乗効果で、バブル期の収益を上回る企業が増えた。ただし資本効率は労働分配率の高止まりなどで改善しているとはいえないほか、設備年齢の高止まりに対する適切な設備投資が求められるなど、課題も残されているという。
 一方、家計は、企業による収益確保のしわ寄せで賃金の伸びが期待できないこともあって消費行動が景気の影響を受けやすくなるなどの変化が見られる。
 また少子高齢化の影響も徐々に出始めている。今後団塊世代の退職が本格化するにつれて労働供給が減ると、企業の雇用政策によっては失業率が下がって、デフレ脱却の糸口になる可能性があるとした。
 企業行動の変貌を見ると、世界の優良企業に比べ日本は総資本利益率が極めて低く、株主軽視だったが、現在は徐々に資本効率性の重視に転換しつつあり、さらに株主価値の向上に向けた努力が求められるとした。
 家計消費については、賃金所得の伸び程度に抑制されると予想。また、低金利状態が続くため資産所得の増加も見込めないとした。一方、株価上昇は期待できるものの、家計の全金融資産に占める株式の比率は5%程度であるため上昇効果は限定的で、貯蓄余力が乏しくなっていることからも平均消費性向の上昇余地は限られると分析した。
 なおレポートは、あとがきで人口減少について「日本の経済発展における人口増加の寄与はそれほど大きくなかった」との通説を挙げ、人口減少を「1人あたり資本ストックの増加(資本深化)による生産性向上でカバーできれば問題はないはずだ」としている。

(2005.2.23)



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