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協同組合の存在意義高まる −協組研が研究総会 (2/18)

 (財)協同組合経営研究所は、2月18日(金)「協同組合の社会的責任と今日的な課題を考える」をテーマとする研究総会を東京コープビルで開催した。当研究所は、研究誌「にじ」やセミナー等を通じて協同組合の経営諸問題を究明しており、冒頭、福間莞爾理事長が挨拶の中で今回の研究総会のテーマ設定の趣旨を説明した後、基調講演、研究報告、全体討議の順ですすめられた。
 基調講演で、奥村昭博慶応大学大学院教授は、協同組合の存在意義が今ほど問われている時代はないとし、組合員の高齢化、WTOやFTAの進展、規制緩和など事業環境の大きな変化にふれ、JAは広域合併により自らの認識以上に大きな存在になっていると指摘したうえで、地域に密着し営農事業を核とする「営農・生活を包含する地域総合戦略」の策定・推進を提唱した。
 研究報告では、協同組合法の商法準拠は株式会社への道かという疑問に対し、小樽商大多木誠一郎助教授は、商法準拠は協同組合の大規模化にともなう機関ないしガバナンスの手段としての限定的なもので株式会社化を導くものではないと報告。次いで、協同組合の出資金は払戻し可能であることから国際会計基準において負債とみなされたことについて、堀越芳昭山梨学院大学大学院教授(日本協同組合学会会長)は、協同組合の出資金は事業を行うために一定の資本機能を果たしているが株式会社の資本金と同一に律することは困難であるとし、出資金の不安定性の克服方法を論じて、高齢化組合員の脱退という近未来問題に対する先見的報告を行った。また、協同組合における社会的責任について、伊吹英子野村総研主任コンサルタントは、攻めの経営戦略としてとらえることが重要であると指摘し、欧米の先進事例を交えて報告を行った。
 研究総会の参加者は120名に達し、全体討議では、過疎地域の店舗等の統廃合を協同組合の社会的責任とどう整合させるかなど現実と向き合った討議が交わされた。

(2005.2.23)



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