島村宜伸農相の「全頭検査は世界の非常識」発言が問題となっていることから3月4日のJA全中総会に来賓出席した岩永峯一農水副大臣は、農相祝辞を代読した後「私からも、ひとこと大臣発言の真意を報告しておきたい」と切り出し、あれは「全頭検査が諸外国で実施されていないことなどを踏まえた発言だ。しかし『非常識』という言葉がおかしいなら、その言葉は納めたい、と大臣はいっている」などと説明した。
農相は国会答弁で「全頭検査は世界の常識ではないという意味だ。しかし非常識という言葉で角が立つなら、納めてもよい」などとし、岩永副大臣も同じ言葉遣いだった。
「納める」とは妙な言葉で「あれは撤回ではない。農相は発言の趣旨は変わらない、ともいっている」として民主党は農相辞任を求め、消費者団体や市民団体の抗議も相次いでいる。JA全青協も1日、抗議文を出し、発言撤回を求めた。
全中総会で決めた事業計画のハイライトは「安全・安心な農産物の提供」であり、来賓あいさつでも「日本では安全対策の進展が目覚ましい。さらに、よりよい仕組みをつくろう」(日本生協連会長)などと語られた中で、農相発言を「納める」という報告はいかにもあいまいだった。
JA全青協の抗議文は農相発言を、米国産牛肉の輸入再開を急ぐ意図と受け取られ、消費者の牛肉全体に対する不信感を広げかねない、としたが、とにかく、あいまいな言葉遣いを、早急に明確にする行政の努力が求められる。 |