農業協同組合新聞 JACOM
   
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加工原料乳の限度数量5万トン減
乳用種の保証基準価格を引き下げ
−17年度畜産物価格が決定 (3/18)

 食料・農業・農村政策審議会畜産物価格等部会が3月18日に開かれ、島村農相が諮問した加工原料乳生産者補給金単価の引き下げや、限度数量の5万トン削減などの内容を「妥当である」として答申、17年度の畜産物価格と関連対策が決まった。関連対策では、JAグループが求めていた家畜排せつ物法に対応するための恒久的施設整備への補助付きリース事業の継続やチーズや生クリームの需要拡大対策などが決まった。

 酪農対策では、脱脂粉乳の過剰在庫が課題となっていた。16年度期首には適正水準の2.5倍以上の約9万3000トンに膨らんだ。16年度対策では需要拡大も含め2万1000トンの脱脂粉乳対策に取り組んだが、在庫は1000トンしか減少しなかった。脱脂粉乳を原料とする加工乳の需要が平成12年の食中毒事故以来、急激に減っていることが原因だ。9年度の加工乳消費量を100とすると現在はほぼ50に近い。
 こうした状況にあるため、脱脂粉乳やバターの原料となる加工原料乳に対する生産者への補給金対象の限度数量を前年度の210万トンから205万トンへの削減を決定した。また、生産費の変動から補給金単価も1kg10円52銭から、同10円40銭に引き下げられた。
 ただし、生乳生産の維持、拡大が図られるよう消費拡大対策をとり、国産チーズの増産に向けて生産者には新たに奨励金を交付する。チーズ向けの乳価は加工原料乳乳価より低い。そのため17年度のチーズ向け増加分に1kg12円を交付する。
 国産チーズの生産量は16年度は生乳換算で30万トンだが、17年度は4万トンを新たに増やす計画。同時にチーズ製造工場の再編・拡大対策も実施する。また、生産者団体と乳業メーカーと生乳の安定供給体制や新製品開発、消費拡大策などへの取り組みも支援する。

●乳用種牛肉の市場開拓

 畜産部門では乳用種子牛の保証基準価格(再生産確保のために生産者補給金が交付される価格)が12万9000円から11万円に引き下げられた。
 肉用子牛価格は、黒毛和種ではBSE発生の13年には一時、保証基準価格を下回ったがその後は回復している。一方、乳用種では価格回復傾向にあるものの、保証基準価格は下回っている。
 しかし、乳用種子牛の生産コストは規模拡大などの努力で11万円程度と、保証基準価格を下回っていることから算定方式を見直すべきとの議論が昨年からなされていた。今回、その議論をふまえて保証基準価格を引き下げた。
 一方で牛肉市場では、乳用種牛肉は、和牛、交雑種につぐ市場価格となっており、手頃な価格の国産牛肉となっている。国産牛肉の4分の1を占め米国産牛肉と国産牛肉の中間に位置するが、米国産牛肉禁輸で、最近では引き合いが強く「保証基準価格の水準ではなく、市場できちんと評価されることが本来の姿」(農水省)だとして、乳用種の生産、販売促進に向けて今回、市場開拓緊急対策事業を新規に打ち出す(6億円)。
 乳用種牛肉の生産には、酪農家によるヌレ子(7日〜10日齢)出荷、育成(6〜7か月齢)、肥育の段階があるが、各段階での肉質の底上げ、コスト削減などが求められる。そのため生産者サイドが実需者ニーズを把握して契約生産などが拡大するよう、販売戦略策定や飼養管理技術の高度化などの取り組みを支援する。「米国産輸入が再開しても高い評価が得られるよう対応したい」(農水省)との方針だ。

●補助付きリース事業継続

3月15日の全国代表者集会、マツヤサロン
3月15日の全国代表者集会、マツヤサロン

 そのほか、JAグループが求めていた家畜排せつ物法施行に対応するための施設整備への補助付きリース事業の継続も決まった。
 昨年11月の同法施行で緊急避難的に簡易施設で対応した生産者は8800戸あり、今後、3年で本格的整備を支援していく。
 また、BSE発生で食肉センターでの安全・安心対策にコストが増加しているが、牛1頭あたり600円のせき柱対策などの継続も決まった。
 JAグループは、3月10日から17年度畜産・酪農対策特別運動に取り組み2回の代表者集会を開催するなど要求実現に向けて運動を展開。集会では宮田全中会長が米国産牛肉の輸入再開問題について「圧力に屈することなく食の安全・安心を確保することが重要だ」と強調した。

 

(2005.3.23)



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