食の簡便化志向を背景にした若年層の果物離れなどから需要が伸び悩んでいる中で、果樹農業の発展を図るためには、消費者ニーズの動向に即した産地戦略が必要であるなどとした「果樹農業振興基本方針」を農水省が3月30日発表した。
産地はそれぞれ「果樹産地構造改革計画」(産地計画)を策定して戦略を定め、その中で担い手と、その育成方法を明確にし、担い手への園地集積をはかるという方針で、水田農業ビジョンづくりの果樹版といえる内容だ。計画は認定農業者制度を基本とする。
担い手は、農業所得が主で、60代までの農業従事者がいる農家が中心。加えて新規参入者や、農業生産法人への発展が見込まれる生産者組織なども担い手に位置づける。
方針は果実の輸出振興も打ち出した。国産品の高品質を活かし、所得が向上している東アジアなどへの輸出を強力に推進する。生産者団体、行政、貿易機構などが一体的な推進体制を整え、新たな市場を開拓し、産地間の連携や、集出荷体制の整備も進める。
一方、平成18年度まで実施する需給調整対策は、生産出荷目標量の配分方法を改善する。また構造的過剰感のあるうんしゅうミカンなどについては、優良晩カン類などへの転換と、条件不利園地の廃園を進める。担い手支援では、18年度までの経営安定対策について運用を改善。流通コストを下回って出荷される低品位果実は補てん対象から除外し、価格低下を防ぐ。
19年度以降は、担い手の経営基盤強化に向け、産地計画に即した小規模基盤整備、園地の流動化、改植などによる優良品目・品種への転換などの支援対策へ移行を目指す。また果樹共済への加入を促進する。
需要拡大では「毎日くだもの200g運動」を一層効果的に推進する。
販売面では、産地自らが多様な販売形態に即した品質や出荷形態の見直しを戦略的に進めることを強調。とくに卸売市場法改正への積極的対応を挙げた。
27年度生産努力目標は果樹の種類ごとに設定した。うんしゅうミカンとクリは減産となる。全体では15年度より13万8000トン多い。
なお産地計画の策定主体は原則として生産者代表、JA、市町村、普及センター、農業委員会などで組織する協議会で、目標年次は5年間となっている。
|