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経営役員会の機能強化を求める −全農改革委が第一次答申 (4/9)

種市会長に答申書を手渡す加藤座長
種市会長に答申書を手渡す加藤座長
 全農改革委員会は4月9日、今年初めからの6回の審議をまとめ、会員外の経営役員増員など、(1)統治・執行のあり方、(2)監査機能の強化、(3)コンプライアンス機能の強化の3つの課題についての答申を行った。
 答申では、全農の活動は会員JAに対するサービスの充実を通じた満足度の向上を図ることが基本だが、あわせて「取引先や広く国民消費者の満足度の向上を図ることが、結果として会員JAの最大メリットにつながる」という認識を持つことが重要と強調している。
 そのうえで、会員JAだけでなく国民消費者の声をタイムリーに運営に反映させるため、現在、3名の会員外経営役員を法制度で認められている定員の4分の1まで増員すべきと提言した。現行28名の経営役員定数を他の全国連を参考に若干名の削減も求めている。
 また、業務執行を行う理事会との連携強化が必要だとして、▽会長は常勤、▽経営役員と理事の兼務、も提言した。
 現行農協法では経営管理委員(全農の経営役員)と理事の兼職を禁止している。答申を実現するには法改正が必要になる。答申では兼務のあり方として(1)会長が理事会に入り代表理事会長を兼務、(2)理事長が経営役員を兼務、の2案を示した。

◆SR委員会の設置求める

 経営役員会の機能については、その決定事項に子会社の管理・再編の基本方針を加えることや、協同組合としての社会的責任を推進するため、経営役員会のもとに「SR推進委員会」を設置することも提言した。
 委員会は経営役員、理事長、担当理事のほか、第三者委員で構成。全農の場合の社会的責任とは他の企業と違い、農業生産の持つ環境維持機能や自給率確保なども課題として検討すべきだと提言している。
 そのほか、統治・執行については「理事長の権限強化」も提言した。
 具体的には理事、県本部長に事業目標を示し、目標についての業績評価と人事措置が実行できるようにすべきだとした。
 また、県本部長の人事については現在、理事長は県本部運営委員会の推薦を承認することになっており実質的に人事権はないが、答申では理事長に少なくとも「理事候補者を経営役員会会長に推薦する」、「業績評価に基づく県本部長の交代を決定する」という権限を持たせることを求めている。
 改革委の加藤丈夫座長(富士電機ホールディングス相談役)は、「全農は県本部も主人公になって運営している組織。しかし、組織的な融合、統一は必要。理事長が県本部長を指導することができるようにすべきだというのは答申の基本的なスタンス」と説明した。

◆会長、早急に改革案を

全農改革委員会は今後、「事業推進のあり方」について審議する。
全農改革委員会は今後、
「事業推進のあり方」について審議する。
答申後に記者会見する種市会長(右)と加藤座長 4月9日、虎ノ門パストラル。
答申後に記者会見する種市会長(右)と
加藤座長 4月9日、虎ノ門パストラル。

 監査機能の強化については▽情報開示の充実と内部統制の整備、▽監事の半数以上を会外監事とし監事監査の位置づけを高める、▽内部監査部門を理事長直結部門に位置づける、などを提言。
 コンプライアンス機能の強化については、「事実を事実として受け止める意識」が必要なことと、職場の上司と部下、仲間どうしの対話を深め、「風通しのよい職場を作ること」を求めた。
 加藤座長は「協同組合は組合員の相互扶助組織だという観点から活動のベクトルが内向きになりがち。むしろ国民、消費者へとベクトルを外に向けた改革が必要だ。可能な限りスピーディな行動を全農にお願いしたい」と語った。
 答申を受けた種市会長は「内容を最大限尊重して生産者、消費者の信頼を得るよう運営に反映させる努力をする。組織と十分に検討し早急に改革案をつくりたい。できるものは実践のなかで取り組む」などと語った。
 また、答申では組織統合が36県にとどまっていることにどう対処するのか明確でないと指摘されていることについて「全県統合の努力はしていかなかければならない」と話した。
 全農改革委員会は4月以降も引き続き、「事業推進のあり方」について審議し5月末に答申する予定となっている。

(2005.4.12)



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