■数値目標掲げピッチ上げる
JAグループは21年度末に認定農業者を30万人、集落営農を2万つくることなどの目標を掲げた「担い手対策基本指針」を4月7日の全中理事会で決めた。
指針は、「担い手づくり戦略」の策定や、集落営農の組織化・法人化、農地の利用集積など、JA、都道府県、全国段階で17年度に取り組む事項を定めた。
「担い手づくり戦略」ではJAは、担い手づくりのための体制整備や担い手の明確化、担い手への事業支援対策の確立などを盛り込んだ「戦略」を早急に理事会で決定、実行し、今年度、あるいは18年度の総代会などで組合員への周知徹底をはかることとしている。
都道府県段階では、数値目標の設定や中央会・連合会での体制整備などを内容とした「県指針」を今年度早期に策定。また、全中が策定した「担い手づくり戦略マニュアル」などを活用したトップセミナーや研修会を開催し対策をスタートさせる。全国段階では「食料・農業・農村基本対策推進本部委員会」を本部としてJAグループ各段階の進捗状況を点検するほか、JA、県段階の担当役員なども含めた「担い手対策委員会」を設置し、課題の検討、提案などを行っていく方針だ。
なかでも今、現場に求められている担い手の明確化と認定、集落営農の組織化・法人化という具体的な課題について、JAは▽水田ビジョンに位置づけられた担い手などを認定農業者へ誘導する目標数値と経営改善計画の実現に向けたJAの支援活動や法人化の指導対策、▽農用地利用改善団体の設立推進による担い手への農地利用集積目標と、集落営農の組織化、特定農業団体化の目標数値などを盛り込んだ「アクション・プログラム」を設定することにした。県段階でも同様の指針を策定する。
また、全国段階では、全国農業会議所などの関係機関と設置した「全国担い手総合支援会議」で共通目標をすでに掲げている。
目標数値は認定農業者を現行18万7000人から17年度末には21万、21年には30万とした。また、集落営農は現在、9900ほどだが、17年度末には1万2000、21年度末には2万という目標だ。農業法人は現行5200を17年度末に5800、21年度末に8000とした。ただし、これらは地域段階からの積み上げを経ていないため次年度以降は地域・都道府県からの積み上げで見直し、検証を行う。
■JAバンクも担い手支援を本格化
JAの事業としての担い手支援も課題だ。
指針では、生産資材価格の低減目標を示した「行動計画」を17年度中に策定し、弾力的な大口割引や一括購入条件の設定など、JAと連合会を通じた事業体制の確立に取り組む。
また、担い手との販売面での事業連携方式や機械、施設のリースのあり方など、担い手に焦点をあてた経済事業改革の対策を17年から18年にかけて具体化し、推進をはかる。
信用事業でも担い手対策を強化する。
JAバンクが「担い手のメインバンク」としての機能発揮するよう新資金「アグリビジネスローン」の創設や、JA・信連・農林中金に「担い手金融リーダー」を設置するなど、総合的な金融サービスにも取り組む。 |