農業の担い手育成に向け、JAバンクは農業金融を一段と強化する。「担い手のメインバンク」としての地位確立を目指し、JA・信連・農林中金が一体となって総合的な金融サービスを展開する。農林中金が4月14日明らかにした新しい方針は(1)経営コンサルティング機能の拡充、(2)法人向け資金「アグリビジネスローン」の創設、(3)農業法人などの発展・育成を目指す出資の活用、などを打ち出した。
農林中金はすでに今月から農林部に「JAバンク担い手金融室」を設置。実施体制をスタートさせた。各県での具体的取り組みは今後、協議して進める。
JAの役割分担は、認定農業者や集落営農組織、JA出資法人などの担い手を主体に金融対応する。信連と農林中金は、JAの取り組みを支援するとともに、JAの対応が困難な農業法人などに対して直接融資、またはJA・信連との協調融資などを行う。
コンサルティングの内容は▽経営診断や会計指導▽販売先紹介・異業種交流などのビジネスマッチング▽将来的な株式上場支援、などとなっている。
農林中金は食品産業や量販店などに約8兆円の企業融資をしており、数多い取引先同士をつなぐノウハウも豊かだ。これらを活かして、担い手に販売先を紹介したり、企業とのマッチングを提言したりして担い手のビジネスチャンスを広げることができるという。
当面は農林中金の中にコンサルタントチームをつくり、外部の専門家も活用して農業法人などへのコンサルタントを行い、またJAと信連に必要な機能を提供しながら、資金需要の掘り起こしもねらう。
「アグリビジネスローン」は新たな法人向け資金だ。融資ファンド(融資枠)1000億円を設定する。借り手の信用力に応じて「過度に担保・保証に依存しない、機動的な運転資金等」を低利率で提供する。
これによりプライムレート基準の無担保・無保証の農業資金も可能となる。例えば1法人の借入限度額は年商10億円の場合なら、短期の運転資金(短期)で5億円ほどになるという。
同資金は農林中金が先行して直接融資する。JA・信連は4月以降、各県域で順次検討していく。
融資に加え、アグリビジネス投資育成(株)による農業法人などへの出資も積極的に活用する。これにより財務基盤の強化を図り、法人の発展に寄与する。
また協同リース(株)などによる施設、車両、農機などのリース活用も進める。
農林中金は今後、JA全中と連携し、担い手金融強化の企画・立案をする。
また全国のJA・信連・農林中金に「担い手金融リーダー」約1000人を設置して対応を強化する。
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