農業・農村分野向け融資残高に占めるJAバンクのシェアは高い。5年前に比べ4.5ポイント高まり、平成16年度末では87%強となった。一般金融機関のシェアは4%弱だ。
しかし農業法人の場合、JAから借りている法人は約50%(農水省のアンケート調査結果から)にとどまり、小規模法人が多い。大規模経営の法人はほとんどが他行と取引している。
またJAバンクの農業・農村分野向け融資残高は、農業資金需要の低迷などから、5年前に比べ約1兆円減少し、16年度末は18兆7860億円となった。
一方、食料・農業・農村基本計画は、担い手への施策集中を掲げ、JA全中も、JAグループが担い手支援に全力を挙げるとの「基本方針」を3月に決めた。
そうした中で、JAバンクは全国約7000社にのぼる農業法人に焦点をあて、新たな担い手金融の強化策を打ち出した。その1つが法人向け新資金「アグリビジネスローン」の創設だ。
経営内容を重視し、繰越欠損金がないことなどを条件に無担保・無保証融資も可能だ。金利は短期1.375%、長期1.55%の現行プライムレートが基準。長期の設備資金には担保の設定を考えるが、「必要額の100%を貸せるようにしたい」(農林中金農林部)という。また審査期間も短く1週間前後を目途にする。
こうした農業金融強化策の背景には、国の政策金融見直しもある。経済財政諮問会議の改革決議を受けて農水省の研究会は昨年9月、農林漁業金融公庫と民間金融機関の役割分担について中間論点整理をした。
これによると、政策金融つまり同公庫の役割は、リスク評価が困難で、かつ公益性を有する分野に限定する必要があり「JAバンクなど民間金融機関の積極的対応が強く求められる」とした。今回の「アグリビジネスローン」創設は「積極的対応」の1つとなる。
なお、JAバンク全体の融資残高は約45兆円。うち農業関係資金の残高は約3兆3000億円で、その他はJA組合員の生活資金や地場企業への融資となっている(16年3月末)。
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