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BSE対策の見直しに断固反対 生活クラブ連合会 (4/26)

◆全頭検査の継続を

 食品安全委員会はプリオン専門調査会の「わが国における牛海綿状脳症(BSE)対策に係わる食品健康影響評価(案)」についてパブリックコメントを募集しているが、生活クラブ生協連(河野栄次会長)は、BSE対策の見直しについて「断固反対する」との意見を表明した。
 昨年9月に食品安全委員会は「異常プリオン検出限界以下の牛を検査対象から除外するとしても、SRM(特定危険部位)除去という措置を変更しなければ、ヤコブ病のリスクが増加することはないと思われる」との中間とりまとめが出され、この見解を踏まえ政府は若齢牛を検査体制から除外する方向で調整に入った。しかし、同連合会は「背景には、米国産牛肉の輸入再開を求める米国(と業界)の圧力が具体的に関係していることは誰も目にも明らか。BSE問題の総括の上に立って再スタートを切ることを期待された日本の食品安全行政が、同じBSE問題によって消費者の立場に立つ視点を自らが放棄しようとしている。このことは、多くの国民の期待を裏切る行為であり断じて容認できることではない」と強調している。
 また、同生協連は、徹底したトレーサビリティに基づく原料管理、飼料の管理、と畜方法の見直しなどをすすめ、安全な牛肉の確保、他の食品や非食品においても、使用される牛由来原料の安全性の確保に向けて生産者とともに努力を重ねてきており、「2001年10月以降の全頭検査の施行とSRM除去の実施という行政的措置により、当会のBSE対策は実効的な対策として完結した」との基本認識を示した。
 こうした基本認識にもとづいて「全頭検査体制の継続(国産・輸入を問わず)を主張」するとともに「国内の牛肉流通においてダブルスタンダードとなるような検査体制の見直しに対しても反対」を表明した。

◆混乱を招くだけの米国産牛肉の輸入再開は止めるべき

 意見を補完する「個別問題意識」もあげた。
 米国産牛肉の輸入再開条件についてプリオン専門調査会が評価を行なうことについて、▽米国においては豚や鶏の飼料原料に未だ牛由来の肉骨粉使用が認められているため、飼料製造や流通における“交差汚染”の可能性が残る。▽SRMの除去に関して30カ月齢以下の脳と脊髄は認定していないことや、膨大な飼育頭数により個体識別はおろかトレーサビリティ体制にも不安が残り、こうした実態は、日本の消費者の理解を得られるレベルには遠く及ばない。▽全頭検査の科学的根拠論議以前にまずこの実態が改善されるべきであり、この現状が改善されない限りにおいては、輸入再開それ自体が問題である、と指摘。
 また、全頭検査については▽BSE発生原因や経路が依然として未解明である事実に対する安全・安心の担保、▽感染の原因究明と予防策の構築をはじめ、若齢牛検査の課題を克服する検査制度の向上などの万全な組立てがまとまる以前においては、全頭検査をやめることは本末転倒である、▽全頭検査までせざるを得なかった食品安全行政そのものの反省に立ち、消費者の安全・安心を担う食品安全行政の構築を対策の最優先とすることを強く求める、と強調している。
 さらに、生産と流通に関する適正な情報開示を一層強化し、国民合意が得られるBSE対策とその実行を改めて求めるとし、その理由に▽食品偽装事件や不正表示問題によって多くの消費者は、生産や流通に対しより適正な情報開示を求める姿勢が強まっている、▽そうした状況の中で、大きな進展や改善が見られないまま米国(と業界)の圧力で米国産牛肉の輸入が開始されたとしても、日本の消費者の多くは米国産牛肉を敬遠することは誰の目にも明らか、▽従って、混乱を招くだけの米国産牛肉輸入再開は止めるべき。国民が納得できる条件のもとで安全性が確認されたものに限定するべきである、としている。

(2005.4.28)



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