食料自給率の向上に向けて、政府、農業団体、食品産業、消費者団体など関係者がそれぞれ計画的な取り組みを行うことを目的に4月26日、食料自給率向上協議会が設立された。
この協議会は、行動計画の策定と計画への取り組み促進、実行状況についての点検、検証を行う。新たな基本計画では、食料自給率目標の達成に向け工程管理を行うことを決めたが、協議会はその具体化を図るもの。会長に生源寺眞一東京大学大学院教授、副会長には大木美智子消費科学連合会会長が選任された。
会合では行動計画について事務局の農水省が説明。関係者それぞれがいつ、どのような取り組みを行うか、数値などで目標を明確化したものを盛り込み、5月中に策定する考えを示した。この行動計画が地方や現場で具体的な行動につながるよう協議会メンバーの傘下団体に取り組み方針を明らかにすることや都道府県段階で自給率向上協議会を組織化することも打ち出した。
また、行動計画の点検・検証は初年度の17年度は3か月程度ごとにチェックする必要もあるとした。会合ではこうした方針を了承し、5月12日までに協議会メンバーがこの1年の取り組み内容を事務局に提出し案を作成、次回、5月30日の第2回会合で行動計画を決定することになった。
会合で出された協議会メンバーのおもな意見は以下のとおり。
▽需要にあった生産と生産から消費までフードチェーン全体のバックアップが重要。輸入農産物排除では向上しない。品質とリーズナブルな価格実現、情報を消費者に正確に伝え判断してもらうことが大事。(日本生協連・山下俊史副会長)▽安全・安心な農産物の提供、耕作放棄地の解消など生産者の取り組みも大事だが、地産地消型の学校給食の普及など基本的な政策も重要。水田にコメ以外に自信を持って作れる作物対策、飼料作物や大家畜の意識的な導入、原産地表示も重要だ。輸入商社にも協議会メンバーに。(JA全中・山田俊男専務)▽過去にとらわれない発想と消費者に信頼回復が鍵。外食産業は40%国産使用。業務用対策を考えるべきだ(日本フードサービス協会・横川竟会長)▽再生産できる価格が基本。国産は安いか高いかといった議論ではなく品質で考えることが大事(日本農業法人協会・長谷川久夫会長)▽地元では保育園で地域食材を使った給食が実施されている。食育など長い時間をかけた取り組みも必要。文科省などとの省庁連携を(JA全青協・三上一正会長)▽いかに消費者に信頼回復してもらうかの問題。国産品をより多く買おうという気持ちになるかどうかが大切(主婦連合会・和田正江参与)
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