農業協同組合新聞 JACOM
   
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国際化に対応した経営支援策の早期導入、
高関税の逓減と内外価格差の縮小が必要
日本生協連「日本の農業に関する提言」を発表 (5/18)

 日本生協連(小倉修悟会長)は、消費者の立場から日本農業のあり方について政策の再整理をはかり、あわせて食生活に関わる提言をまとめることを目的に、「農業・食生活への提言」検討委員会(委員長:山下俊史日本生協連副会長)を設置し、約1年間検討してきたが、同委員会答申として「日本の農業に関する提言」と「食生活に関わる問題提起」をまとめたことを5月18日公表した。
 日本生協連は1998年に「食料・農業・農村政策に関する生協の提言―新基本法によせて―」を出しているが、今回の提言はこれをベースに、最近の状況変化を踏まえ、日本の農業や食生活の問題を整理・見直しを行なったものだ。
 前回の提言との大きな違いは、
1)WTOなど国際化に対応した経営支援策を早期に導入するとともに、高関税の逓減と内外価格差の縮小が必要
2)自給率は、カロリーベース自給率にこだわらず、複数の自給率を総合的にみて、農地や担い手など自給力の変化を検証することが重要であり、新規就農の推進やそのための農地制度の改革が必要
 としている点だ。

◆農業を国際競争に耐えられる産業に

 農業サイドからみて重要なのは、1)についてだといえるだろう。
 「提言」は、わが国には高関税の農産物が多数あり、消費者は国際的にみて高い価格で農産物を購入しており、「内外価格差を維持することで、国内農家を守っていることになり、結果として個々の消費者が農業保護のコストを目にみえない形で負担している面がある」と指摘。
 そして「高関税の低減は、自由貿易体制のもと、もはや避けられない国際的な潮流」であるから、「現状の関税が削減され米を始めとする重要な農産物についても国際競争力にさらされることを想定して、日本農業を産業として支えている主要な担い手が農業経営を継続し、さらに農業生産を充実していける体制を作り上げなければならない」。そのためには品目別生産支援ではなく「食料・農業。農村政策審議会企画部会で論議されてきた品目横断型直接支払制度の導入を早期に実現する必要がある」としている。

◆農業支援施策の展開にあたっては「内外価格差の縮小を」

 そして「投入される費用に対して効果が十分発揮できるよう、対象者は主要な担い手とすることを明確にして、集中した支援を行なう必要がある」としている。対象となるべき主要な担い手とは「一定の規模を有して生産性の向上に取り組んでいる農業者や農業法人」「統一した意思のもとにマネジメントされている集落営農」としている。
 また、農村振興策と農業を産業として育成するための産業政策とは切り離して考える必要があり、「画一的ではなくメリハリをつけた施策の実施が求められている」が、いずれの施策でも「効果が検証されるようなシステムの確立」を求めている。
 具体的には、財源の投入によって農業者を支援する施策の展開にあたっては、「高関税の逓減による内外価格差の縮小を求める」とともに、「農産物の価格低下を農産物出荷価格の低下だけにとどめす、加工食品を含めた小売価格の低下に確実に結びつけることが必要」だとし、「生協も食品を扱う事業としての役割を発揮していく」としている。
 なお、この委員会は生協関係者と学識経験者である生源寺眞一東京大学大学院教授、加倉井弘国際農林水産業研究センター顧問で構成されており、農業サイドの意見も聞くために、農業者をまじえたシンポジウムを7月9日に開催する予定にしているという。

(2005.5.19)


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