農業協同組合新聞 JACOM
   
農政.農協ニュース
広がる地銀などとの業務協力
公庫が農林漁業金融への参入を支援 (5/19)

 銀行や信金による農林漁業向け融資の増強を図って農林漁業金融公庫は地域金融機関との業務協力を広げている。昨年4月の鹿児島銀行を皮切りに次々と協力協定を結び、今年4月1日現在、協定先は全国50社に及んだ。大半は地銀だが、信金のほかにファイナンス会社などとの協定もある。公庫融資は法的に設備資金に限られる。運転資金は民間金融の領域だが、銀行などは農林漁業分野が不得手で、融資シェアは極めて低い。そこで公庫は、この分野への民間参入を支援するため提携路線を敷いた。
 両方の職員がペアで担い手の農家や法人を訪問したりしており、提携による貸出が「格段に増えている」と高木勇樹総裁は5月19日の会見で語った。近く、その数字をまとめる。設備資金を含め、リスク分散をはかる協調融資も伸びた。
 これは「民間にできることは民間に委ねる」という経済財政諮問会議の決定などに即した取り組みだ。
 民間金融に委ねたため公庫自身の平成17年度予算貸付規模は4300億円となり、前年度を200億円下回った。13年度に比べると17%強の縮減となっている。
 一方、公庫は、民間が農林漁業融資を敬遠する理由として、この分野は▽自然条件などの影響を受けやすい▽収益性が低い▽個人経営の割に農業機械など大きな資本装備が必要▽農地、山林、漁船などは担保の市場性が低い、などと分析。
 また償還期間の長さについては、返済までの残り期間が7年を超える融資が貸付金残高に占める割合は、都銀などが22%強、地銀などは32%強だが、農林公庫は82%強(総務省の政策評価書)という数字もある。
 公庫は、こうした事情から、蓄積したノウハウを発揮し、民間参入を支援していく。また農林漁業金融を担っているJAバンクとの提携をさらに強化する。一方、公庫は、農業者の専門的な相談に応え、その経営発展を支援する「農業経営アドバイザー」制度を新年度から創設。貸し手と借り手の両面から、この分野の金融を活性化する。
 農林漁業金融は、JAバンクが貸出残高18兆8000億円と最も多く、銀行、信金などの一般金融機関は1兆5000億円と極めて少ない。JAバンクの貸出残高には、農業経営以外の生活資金などの融資が含まれている。農業経営向けに限った残高は農業近代化資金が4100億円、JAバンクのプロパー資金9700億円、農林公庫資金が1兆400億円。

(2005.5.23)



社団法人 農協協会
 
〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3-1-15 藤野ビル Tel. 03-3639-1121 Fax. 03-3639-1120 info@jacom.or.jp
Copyright ( C ) 2000-2004 Nokyokyokai All Rights Reserved. 当サイト上のすべてのコンテンツの無断転載を禁じます。