農水省と農業者、団体、消費者団体、食品産業などで構成する食料自給率向上協議会は5月30日の第2回会合で、食料自給率向上に向けた17年度「行動計画」を決めた。
計画の柱は▽食育、地産地消の推進、▽国産農産物の消費拡大、▽経営感覚に優れた担い手による需要に即した生産の推進、▽食品産業と農業の連携強化、など。
食育では、6月にこれまでの食生活指針に変わる「フードガイド」を策定、専用ホームページの設置や説明会を開催して普及を図るほか、小売店の店頭掲示、外食メニューへの記載などに活用して、今年度末の認知度目標を20%とした。今回のフードガイドでは年齢別、男女別などに分けて望ましい食生活を示す見込み。
地産地消の推進では、JAなど農業団体と市町村が連携して地域計画を策定することにしており、年度末の策定目標を600件とした。米飯学校給食では、実施回数の少ない地域で教育委員会と農業団体などが意見交換を行うなど重点的な取り組みをすすめ、全国平均で週3回の早期実現をめざす。
農業生産面では、年度末に認定農業者数を現状の19万から21万に、集落営農を9900から1万2000組織とすることなどが目標。食品産業との連携では地域食材を活用した新商品の開発や産地ブランドづくりに向けて、関係業者とともに事業化を検討する「食料産業クラスター」を地域で設置するこにしており、今後5年間で45か所の設置を目標とした。そのほか消費者の信頼確保のため、適正農業規範(GAP)の策定と普及も掲げており、年度末の産地でのGAP認知度50%を目標とした。また、食品表示では生産情報公表JAS規格の制定や外食での原産地表示のガイドラインの策定などを通じて、不適正表示比率の2割削減をめざす。
生産面では自給飼料の生産推進も重視し、稲発酵粗飼料(ホールクロップサイレージ)や稲わら、放牧可能地などについて、ミスマッチをなくすよう需給マップを取りまとめるなど飼料自給率向上を図る。
一方、濃厚飼料については食品残さの飼料化を図る。6月に全国行動会議を設置し、優良事例の収集や実態調査を行い、食品残さ飼料化の課題を探り、年度末の飼料化マニュアル作成を目標とした。
行動計画では、盛り込まれた内容について行政、各団体とも地方の現場で説明し、内容によっては地域レベルでの行動計画策定をする方向を打ち出し、自給率向上に向けた実践が各地で行われることを狙いとしている。協議会は夏にも開き各地での取り組み状況などを検討する。
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