生協連合会である首都圏コープ事業連合(太田朝昭理事長)は5月27日に、厚生労働省に対してBSE対策の見直しは「時期尚早」との意見書を提出した。
その理由として、
(1)BSEに関しては科学的に不明確な点が多く、利用できるデータが少ない。感染経路や飼料の影響などもいまだ明らかになっておらず「高感度の検査方法を用いて若齢牛を含めて全頭検査を継続し、BSEの感染経路などについて科学的な解明をおこなうべき」。
(2)食品安全委の答申ではSRM除去の徹底、飼料規制の実効性の確保について「具体的な目標を設定し、できる限り早く達成する必要がある」としているが、まだ具体化しておらず、とくにピッシングについては早急に対策を打つ必要があることから「本来、全頭検査緩和の前提となることであり、優先して取り組むべきである」としている。
(3)中間取りまとめに対して寄せられたパブリックコメントの7割が全頭検査の緩和に反対意見だったが、これは、答申が検査見直しによって「食品健康影響(リスク)は、非常に低いレベルの増加にとどまるものと判断される」としており「たとえ僅かであってもリスクが増加する以上、当然の反応」で「民意が反映されているとは思えない」。
さらに「牛肉に対する国民の現在の安心感は全頭検査によるもの。理解を得られないまま全頭検査を緩和した場合、消費者の牛肉離れなど、日本の畜産業に深刻な影響が出ることが予想される」と指摘している。
また、「米国産牛肉の輸入再開について」も「今回の全頭検査緩和は、米国産牛肉の輸入再開を狙ったものではないかとの疑念は払拭できない。輸入再開にあたっては、米国における月齢の判定方法、個体識別の仕組み、BSE検査率、飼料規制等の実態を明らかにすることが前提」であり「このことなくして輸入再開はありえない」との意見を添えた。
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