介護保険事業を拡充するJAが増え、事業実績も順調に伸びて、平成16年度の取扱高は全体で240億円弱程度になるとJA全中は見込んでいる。これは同制度立ち上げ時の12年度実績74億円に比べ3倍以上の伸びとなる。しかし事業実施JA数は361で、全JAの半分以下。このため全中は、今後さらに進む高齢化に対応し、新規事業化JAの開設支援に力を入れる。
同事業は、介護サービスの種類別に指定を受けて実施するため、1つのJAで複数の事業者指定を受けており、その合計数は904となって、12年との比較では約3割の増加だ。
その一方で、従事者の多忙から、業務運営に問題をきたす状況も出ており、運営・管理体制の改善が求められている。
このため全中は、介護サービス全体の管理体系を標準化し、JAの業務処理を支援する新システムを今年度中に完成させる。介護保険法改正案が成立すれば、来年度からサービスの評価制度が導入されるが、標準化システムは、これに対応できるという。
またサービスの品質を向上させ、先のJA全国大会が打ち出した「安心・安全なJA介護ブランド」の確立をねらう。すでに、この4月からはシールやポスターなどに使う「JAケアマーク」を作り、各JAでこれを活用して、JAブランドの知名度を高めるよう呼びかけている。
取扱高の伸びにともない1事業所あたりの平均収支も改善が進んでいる。しかし例えば訪問介護の場合、約4分の1の事業所で赤字となっており、サービス向上対策とともに、利用者確保対策の強化が必要とされる。全中は同事業の経営分析と経営改善支援対策を引き続き実施していく。
なお全中の17年度JA高齢者福祉関係事業計画には▽「JA高齢者福祉基本計画」の策定(63.5%のJAが策定済み)推進▽JA助け合い組織の強化支援▽介護保険制度改定への対応方針徹底▽新制度を踏まえた新サービスなどの事業化検討、などの課題がある。
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