農水省は6月1日、米国産飼料用トウモロコシから日本で安全性未審査の遺伝子組み換えトウモロコシ「Bt10」が検出されたと発表した。
検出されたのは名古屋港。5月26日に輸送船からサイロに荷揚げする際にサンプルを採取して分析していた。390トン分を対象にしたサンプル検査で見つかったが、船には全部で8000トンが積み込まれており、現在、全量を対象に検査している。Bt10が検出されたものは、工業用などとして処分し飼料として流通させない措置をとる。
Bt10は、日米ともに承認していない遺伝子組み換えトウモロコシ。3月23日、農水省は米国大使館から、Bt10を開発したシンジェンタ社が誤って流通、作付けされていたと米政府に報告していると伝えてきた。栽培期間は2001年から2004年にかけてで最大で延べ1万5000ha栽培されたという。米国政府が報告を受けたのは昨年末だった。
米国政府の説明では日米ともに安全性を確認しているBt11と同一のたんぱく質をつくるものであり食品、飼料、環境への安全性についての問題はないとした。また、流通しているBt10種子についてはシンジェンタ社が回収し廃棄したという。農水省としてもかりに輸入されたとしても家畜や畜産物への安全性に問題はないとしていたが、輸入飼料への混入がないかどうかを検査するため分析法の確立に取り組み、5月26日からBt10の混入がないかどうかの検査をスタートさせた。その初日のサンプル検査から検出されたことになる。
農水省では米国に対して輸出時に検査するよう要請、協議をしている。
今回の検出を受けて、当初は日本に入港する船のうち一定数を対象に検査する予定だったが、全船を対象に行う。また、食品安全委員会に対してもBt10の安全性評価について諮問する方針だ。
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