全農改革委員会は6月11日に最終答申の原案を加藤丈夫座長から示して検討するが、これを前に4日の第10回委員会では、3つの小委員会のとりまとめ報告があり、これをめぐって子会社の管理では「持ち株会社を設立し、その下に一定の子会社を配置する形態を検討すべきだ。持ち株会社を全国本部のマネジメント下に置けば円滑な子会社管理ができる」との意見が出た。
改革委は委員12人の半数が外部の有識者。その意見には話題性のある提起も出る。大企業に多い持ち株会社を農協法の下に持ち込もうという提起も、その一つ。全農の子会社を品目別、機能別に整理し、その上に「ホールディングス」などと呼ばれている会社を置く考え方だ。
「農協法の下で子会社管理をするのは混乱のもと。しかし持ち株会社を設置すれば、ガバナンスが効きやすく、(子会社の)業績評価もしやすいと考える。長期的に見れば、今が、その判断をすべきよい機会だ」との意見もあった。
それぞれ子会社を持つ各経済連との統合で全農全体の子会社(協同会社)は急増したが、17年度までの3か年計画に沿って再編を進めた結果、今年4月1日現在では212社に減った。減らしたあと、新たな統合によってまた増えるという経過をたどった。
そうした中で子会社の不祥事が続いたため、4日の委員会では「もっと大胆に再編と管理強化をすべき。コメ事業などは、なぜ東西のパールライス(株)になれないのか」という疑問も出た。広域の東西2社のほかパールライス秋田など県別のコメ卸会社があるため、これを大きく2社に再編できないのかとの疑問だ。
一方、▽子会社は全農の「補完」を目的に設立された。協同組合的株式会社の感度が強く、すっきり割り切れるものではない。全農ができない、あるいは全農が行う合理性がないところを、どう補完するかが設立の原点だ▽農協法に拘束されている意味では、子会社にも、きっちりと農協理念を守ってもらうことが大切――などの意見がJAグループ委員から出た。
こうした議論が最終答申にどうまとめられるか注目される。なお改革委の加藤座長は富士電機ホールディングス(株)の相談役。
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