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全同連に業務改善命令 偽装牛肉で補助金申請 −農水省 (6/10)

 国のBSE対策事業をめぐる牛肉偽装事件について農水省は6月10日、全国同和食肉事業協同組合連合会(堺市)に対し「責任のある役職者を厳正に処分すること」などを求める業務改善命令を出した。国は平成13年10月、全頭検査の開始前に解体処理された国産牛肉を対象に、保管と処分の経費を助成する事業を実施したが、この業務に当たった全同連は、対象外の牛肉を偽装して補助金を申請した――としている。
 命令書は「対象外の肉が混入していると知りながら申請するなどの不正を行った」と指摘。中小企業等協同組合法にもとづいて近畿農政局長から発出した。
 今回の不正が全同連の前専務理事である浅田満被告への「全面的な依存を背景として行われたことへの反省を踏まえ、今後は全同連の運営に対する浅田・前専務の影響力を排除するため必要な措置を講じること」という同省の業務改善命令としては、いささか異例の個人名を挙げた再発防止措置も示した。
 また「理事会を定期的に開催」することとか、コンプライアンスの取り組みによる意識改革の徹底などの再発防止策を挙げた。
 さらに、全同連の会員である愛知県同和食肉事業協同組合の役員が補助金適正化法違反に問われ、公判では全被告が公訴事実を基本的に争わないと表明していることから、同組合に対して農水省などが進める補助金返還手続きに、全同連も「全面的に協力する」ようにという命令もある。

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 全同連の浅田前専務は、食肉卸最大手「ハンナン」の元会長で、詐欺と補助金適正化違反に問われ、大阪地裁は5月27日、懲役7年の実刑を言い渡した。
 判決によると、BSE対策事業の対象外である輸入牛肉を国産と偽るなどして計約434トンを、農水省の外郭団体などに買い上げ申請し、約15億5800万円を不正に受け取った。
 牛肉偽装事件には、雪印食品や日本ハムグループなどが立件されたが、実刑判決はこれが初めて。
 判決文には、農水省批判もあり「対象外の牛肉の混入防止に関心が薄かった」とし「農水省の姿勢が犯行を助長した側面もある」と述べている。
 一方、国会では、浅田被告ら全同連幹部が、BSE対策事業の実施直前に農水省幹部を料理店で接待したという事実を農水省側が認めるという質疑もあった。 なお名古屋地裁でも、愛知県同和食肉事業協同組合の役員である食肉卸大手の元社長らがBSE対策事業の悪用などを問われ、補助金適正化法違反にかかかる公判が行われている。

(2005.6.13)



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