農林水産業と食品産業という「食」の生産と消費をつなぐ『架け橋』の役割機能の方向を探るため「『食』と『農』の連携強化検討会(座長:上原征彦明治大学大学院教授)」の第1回会合が6月20日、三田共用会議所(港区三田)で開催された。
本年3月に関係省庁が一体となって21世紀新農政を推進することが決定され、その中で「食品産業と農業の連携を図り、消費者と生産者が手を結び合う関係づくりを推進する」ことが確認されている。検討会は、その具体化を図るため、関係者の取り組みや農林水産業と食品産業の将来像を明らかにするため、幅広い議論を行うもので、17年度中に意見のとりまとめを予定にしている。
最初に事務局から、「昭和60年に生鮮品、加工品、外食合わせた最終消費は60兆円であったが、平成12年のそれは80.3兆円と33.8%増加した。農林漁業の国内生産額は12兆円、食品製造業が31兆円、外食産業が23兆円で、その他を合わせ消費者が最終的に約80兆円を支出している。また、加工・外食に向けられる国内農産物・食品の割合は低下傾向が続き、平成12年では輸入品と国産品の割合が半々となっている」、等の「食」と「農」を巡る現状分析や将来見通しの説明があった。続いて、今後検討を深めるために参考となる食品製造業と国内農業の連携の事例が3例紹介された。その後、「小売店が半減している。生産者との情報交換が必要。高齢化社会を迎え、地域の中で小売店が果たす役割を、きちんと整理する必要がある」。「生協では、昔から産直事業を行っていた。生産者と相互理解を深めるため、人的交流が大切」。「京野菜の水菜など、地方商品の全国化を進めていきたい。隠れた商品の掘り起こしが必要」。「『食』を経済合理性だけで捉えるのは間違いだ。生産コストのを最優先した評価は、自分の首を絞める結果につながる」。など各委員の立場から、検討会に対する意見・要望が出された。
委員の構成では、生産者側委員は少数だ。消費者サイドの議論が中心にならないよう、生産者側の委員から座長に注文があった。
なお、第2回の検討会は、7月下旬開催を予定している。
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