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16年度決算などの概要を説明する農林中金
の上野理事長=6月24日の会見で。 |
農林中金の平成16年度決算は、経常利益が2093億円で前年度を280億円上回る15.5%の増益となり、2年続きの過去最高益となった。内外の長期金利と株価が比較的安定して推移した中で、「適切なリスクマネジメントのもと、有価証券運用の収益を拡大」したこと、および「不良債権処理の収束にともなうコスト低下が寄与した」という。
6月24日の通常総代会は、この決算を承認後、役員改選では、任期満了にともなって退任した増田陸奥夫代表理事副理事長の後任に、佐藤純二専務を選任した。また新専務には山崎直秋常務が昇格した。
畠善行、片山健両常務の辞任にともなう新任常務には、松本浩史JAバンク統括部長、根本渡JAバンク再編強化部長、尾崎玲人事部長が選ばれた。
総代会後の会見で、上野博史理事長は決算について「農林債券の見直しをはじめ、これまで以上に選択と集中を進め、また資金運用では、良質な資産を積み上げた結果、環境に恵まれたこともあり、昨年に続いて過去最高益を計上することができた」と報告した。
金庫が直接、資金調達している農林債券は、すでにワリノーなどの発行を18年後半債を最後に取り止めることを昨秋、決めている。
過去最高益について河野良雄専務は「海外の有価証券投資の中で、日本にはない貸出の流動化など証券化された変動金利ものを増加させ、それが海外の短期金利上昇率をヘッジする形となり、その分が収益率向上に寄与したと思う」などと述べた一方、「国内での貸出や短期運用などは、昨年とほぼ同水準で推移したため、そこでの収益は増やせなかった」と説明した。
17年度の業績見通しについては「資産積み上げにもある程度の限界があるし、米国の短期金利が今後も上昇する見通しがあるため、経常利益ベースで現在、1350億円を目標に、少しでもこれを上回るように努力している」と述べた。
一方、16年度の不良債権処理費用は、400億円減少し、リスク管理債権も5000億円の大台を割った。その結果、貸出金残高に占める不良債権の割合は、3%となり、メガバンクとほぼ同じ水準に低下した。
このため「処理の峠は完全に越えた」(河野専務)という。
自己資本比率は12.09%で前年の12.87%に比べ少しダウンしたが、年末には資本増強して1%強上昇することになっている。
当期純利益はほぼ前年並みの1404億円となったが、経常利益が計画を1500億円上回ったため、利益処分は特別配当金を前年比18億円増の336億円とした。
前年度は特配に0.05%を上乗せし、さらに140億円をプラスしたが、今回は140億円に10億円を加算した。普通・後配・優先の各配当は前年と同じ。
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