国内業務だけを行う金融機関の自己資本比率は4%が基準だが、現状は、すべてのJAが、この基準を大きく上回っている(4月1日現在)。農林中金の上野理事長は24日の会見で、そうしたJAバンク全体の健全性を強調した。金庫の好決算の前提には、健全性と信頼性の向上に取り組んだグループ全体の努力があるとした。16年度からの「JAバンク中期戦略」は、収益性の追求を掲げたが、理事長は金庫として、いっそう「収益力の向上をはかりたい」との意欲を示した。
決算概況を見ると、系統からの預金は増加したが、海外市場調達の多様化で外貨預金は減少した。また農林債券が減少して5兆円を割った。
貸出金は、法人営業貸出の減少を主因に減少した。他方、有価証券は積極的に取得したため3兆8742億円増加して残高は37兆4272億円にふくらんだ。
不良債権は25.2%減の4737億円。貸出金残高比は前年度より0.5ポイント改善の3%となった。
新規発生もかなり限定的になってきたので、貸倒引当金繰り入れは一転、130億円の戻し入れとなり、前年度の373億円引当から504億円の好転となった。これを主因に与信関係費用の合計は400億円減の112億円となった。
有価証券の評価損益(含み益)は前年3月末比で4163億円増加し、大台を超えて1兆1076億円となった。自己資本比率は、単体では12.09%だが、連結では12.15%となる。
経常利益は2093億円。当年度純利益は、固定資産の減損会計を早期適用し、減損処理にともなう特別損失が発生している関係で、ほぼ前年並みの1404億円。
計画を上回る過去最高の経常利益をうけ、JAや信連への配当金も特別配当を含め過去最高とした。
その他の主な数字は▽総資産61兆9472億円▽実質業務純益1941億円▽配当金合計449億円。 |