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「環境」をテーマに国際協同組合デー記念中央集会 (7/1)

国際協同組合デーの集会であいさつするJA全中の山田専務=東京・大手町のJAビル
国際協同組合デーの集会であいさつするJA全中の山田専務=東京・大手町のJAビル
 JAや生協などの全国組織12団体からなる日本協同組合連絡協議会(JJC)は7月1日、都内で国際協同組合デー記念中央集会を開いた。今年は、JA全農の不祥事を引き金に農協攻撃が強まっている状況を踏まえ、JA全中の山田俊男専務はあいさつの中で「協同や連帯の精神が軽視される」風潮があるが、「アジアでは貧困解消の手段として農協の活動が高く評価されている」と経済連携協定(EPA)の合意内容などを挙げて国際的な協同組合運動の意義を強調した。
 山田専務は「新自由主義や市場原理主義による国際化が進む中で規制緩和を当然とする論調が横行し、農協を、株式会社の農業参入に対する抵抗勢力と位置づけている」と批判。
 また、アジア各国との農業協力に果たす農協の役割や、日本の協同組合活動に学んで新たな農村運動を進めようとする中国の動きなども説明。さらにEUでも協同組合への評価が高いことを挙げ、生活と環境を守る協同活動がますます重要になっていると語った。
 今年の集会は「協同の力で育む地域・環境・平和」をテーマとし、農林中金の池上有介総務部副部長が「森林再生基金の設置と課題」、全森連の中越利茂檮原(ゆすはら)町森林組合長(高知県)が「森林との共生をめざして」と題して報告した。
 四万十川の源流・檮原町では森林組合が国際NGO「森林管理協議会」による「森林認証」を受ける面積を広げ、産出材をブランド化。工務店の直接受注を増やして加工規模を拡大し、雇用増を実現するなどの成果を挙げているという。
 このあと早大大学院法務研究科の大塚直教授が「京都議定書の発効とわが国の責務」と題して記念講演した。

◆「経済発展と汚染が連動しない社会を」 ―大塚教授が記念講演

講演する大塚直 早稲田大・院教授
講演する大塚直
早稲田大・院教授
 「地球温暖化」という言葉について大塚教授は「西欧では気候異変とか異常といっており、そのほうが適切だ」との意見を紹介。
 次いで「アフリカの蚊が飛行機に閉じ込められて日本に来ても、普通なら死ぬが、温暖化が進むと生きていてマラリアなどの感染病を広げる」といった災害の発生予想を挙げた。
 「少雨地帯ではさらに少雨となり、多雨地帯はさらに多雨となる」とか「暖流や寒流などの海洋循環に異変が起きる」ともいう。一般に知られる真夏日の長期化や海面上昇だけでなく、コレラ、熱波、光化学スモッグの発生などもある。
 こうした地球の破局的事態を避ける京都議定書がまとまり「その発効により法的拘束力を持つに至った」と大塚教授は記念講演で次のように語った。
◇   ◇
 日本では京都議定書を受けて法制度整備が進んでいるが、温室効果ガスを排出する業者が自分の排出量を認識する必要がある。このため行政機関が排出量を公表し、それによって排出削減のインセンティブを与えることにしている。
 国内対策の課題としては汚染者(原因者)負担原則の徹底がある。排出を減らせば補助金が出るが、がんばった業者が報われる制度にしなければならない。
 経団連は自主行動計画をつくっているが、政府との協定にはなっていない。
 環境省は昨年秋、環境税を提案したが、ガソリン税と比べて税率が低い。これでインセンティブが与えられるかどうか疑問だ。ヨーロッパのような純粋な環境税でもない。政府税調は検討を棚上げしている。
 2012年以後のポスト京都議定書問題については数値目標を維持(延長)すべきだ。経済発展と汚染が連動しないような社会をつくっていく必要がある。
(2005.7.4)


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