JA全農は19年度から事業本部制の導入をめざして基本的な方向を固める検討に入る。
7月14日に経営管理委員会定数の削減と新たな外部経営管理委員候補などを公表した「新生全農を創る改革実行策」では、事業体制の改革も示した。
それによると18年4月から人事、財務、監査、コンプライアンスを全国統一基準で統制する。そのうえで経済事業が地域農業に立脚していることから、その特性を生かすため地域重視型の事業本部制への移行を検討する。これは現在の「県本部・全国本部単位の収支均衡体制」から「事業本部単位」の収支均衡体制にすることをめざすもの。現状では県本部も全国本部も燃料や肥料などの部門の黒字で農産物販売部門などの収支を補っていることから、これを事業部門ごとに収支を均衡させる体制に移行することを検討する。
事業部門は耕種、畜産、生活、管理の4部門とする方針だ。
一方、農水省が示した報告では、全国本部による実質的な一体化か、県本部、またはブロック域での再編か、だが、この問題については事業本部制の導入に向けた検討のなかで県域で合わせて議論するとしている。
農水省としても先の報告で示した方向は「二者択一」ではないととの見解を示していることからも、全農としても「一本化のほうが組合員のためになるのか、独立型のほうが組合員のためになるのか」(萬専務)の視点でそれぞれの県域で改めて議論していく。
改革案では、△購買事業主要品目・サービスについて会員JAからの求めに応じ価格形成要素、品質、流通コストなどの実態を開示、△一般向け広報の一環として財務、事業概況などのディスクロージャー誌の発行(17年8月)などの情報提供の徹底のほか、職員が主人公となる意識改革に向けて、県本部・全国本部の人事制度の統一と人事交流を各本部要員の5%をめどに恒常化させることも示した。
販売事業では米穀事業で共同計算方式で精算期間の短縮や生産者への情報開示について8月までに見直し、米以外の品目について年末までにまとめる。購買事業手数料についても来年3月までに見直す。
そのほか生産者、会員JAの満足度向上に向け、販売ルートの多元化に応じた販売戦略の構築や主要生産資材のコスト引き下げ目標を改めて10月に明示し、年度ごとの結果を開示する。
|