郵政民営化関連法案が8月8日の参議院本会議で否決されたことを受け、小泉首相は衆議院を解散する意向を決め午後3時からの臨時閣議で閣僚に解散詔書への署名を求めたが、島村農相は解散に反対して辞表を提出した。農相は辞表を提出したが、解散詔書への署名を拒んだことから小泉首相は事実上、罷免した。農相は首相が兼務する。 ◆農政改革など課題山積
島村農相は閣議を退席した後、農水省で記者会見した。
閣議では小泉首相が衆議院を解散する意向を示した後、ほぼ全閣僚が発言。その後、解散詔書への署名を拒むつもりの閣僚とは別室で話し合いたいと首相が発言し、島村農相がそれに応じた。
島村農相は小泉首相に対して、教育、財政、外交、農政改革など改革途上にある課題が多いことを強調。とくに農政はWTO交渉が厳しい局面を迎え、「まさに津波のような国際化の波が押し寄せているなかで日本が孤立せずしかも日本の農林水産業を守るため、今がいちばん大事なとき。一時も空白が許されない」などと解散に反対すると話した。
また、郵政民営化については「将来は避けて通れない課題」だとしながらも、地方では郵便局の将来につての担保がないうちは賛成できないなどの声があり、まだ理解が得られていないとして「年末に臨時国会を開いて、(法案の)改めるべきところは改めるべきだと申し上げた。衆議院では可決した。解散しても(否決した)参議院の構成が変わるわけではない」などと首相に指摘したという。
しかし、首相は農政改革への取り組みなどを評価はしたが、衆議院解散については変わらず島村農相は辞表を提出して官邸を後にした。
また、島村農相は小泉首相が衆議院で反対票を投じた議員を選挙で公認しないとしていることについて「見識の高い人、前途有望な人もいる。鎧をはずして裸で戦えというのは厳しい。あってはならないこと。何らかの配慮を」と強調したという。
農相辞任については「ただ一言申し訳ないということ。断腸の思いだ」と語り、在任中の成果の例のひとつとして全農改革を挙げ、外部からの経営管理委員を導入したことなど「内容のいいものになった。全農も改革を受け止めてくれた」と評価した。
ただ、米国産牛肉輸入再開問題や、WTO交渉、諫早湾干拓問題など「もう少し評価までの時間がほしかったものが多い。本当は続けたかった」と語った。
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9日午前、約500人の職員に見送られて農水省を去る島村前農相 |
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