JA共済連(上原寿宰理事長)は、東京国税局の税務調査を受け、平成11年度〜15年度の5事業年度で約64億9000万円(うち重加算税対象額約10億5000万円)の申告漏れがあるとして、7月29日に約16億2000万円(うち重加算税額約8000万円)の更正決定(追徴課税)を受けていることが9月2日に分かった。
JA共済連に対する国税局の税務調査は毎年行なわれている。従来は指摘(否認)されたことがない下記の項目で指摘されたことについてJA共済連は、「これまで損金処理を否認されていなかった項目が過去5年間にわたって否認されたことは、誠に遺憾」という見解を明らかにした。
しかし、国税当局の指摘に対し税務処理の妥当性を説明したが、見解の相違が解消できなかったので、最終的には指摘を受け入れ納付したという。
◆国税局の指摘(否認)内容
JA共済連によれば、国税局から指摘(否認)された事項と金額(5事業年度計)は以下の通り。
1.共済金の支払いに備えて計上する「事故通知備金」について、その見積り計上額に誤りがあり、決算時点で過大計上と判断された部分の損金処理を否認された(約14億円)
2.JAに対して販売奨励金として支払っていたものの一部が、支出時期などの問題から交際費(得意先に対する利益提供)と判断され損金処理を否認された(約25億円)
3.組合員に対する生活福祉事業の一環として運営している保養施設での割引適用の一部について、契約者など特定者に対するものは交際費に該当すると判断され損金処理を否認された(約14億円)
4.優績組合表彰式、LA表彰式など全国で実施されている表彰式の経費のうち、出席者の旅費、宿泊費などについても交際費にあたるとして損金処理を否認された(約10億円)
5.上記2.の金額のうち、奨励金の一部で事前に取得していた計画が十分でなく、結果として支払い実態とあっていないものがあり重加算の対象となった。また、上記3.の金額のうち、割引額の支出にあたって、年度当初に固定的金額を支払った後に、施設の利用実態に合わせた精算をしていないものがあり、その処理が不適切と判断され、重加算の対象なった。
◆一部の報道に事実誤認
JA共済連は、1)意図的に所得隠しをしたとか、2)経費を水増しして支払い、差額分は農協職員や組合員の宴会費にあてたというような一部の報道について、
1)所得隠しの意図はまったくない
2)については組合員の利用施設の運転資金にあてたもので、国税局の更正通知にも入っていない。
と、これらの報道は事実誤認だとコメント。
さらに、「公的団体」という表現について、JA共済連は民間団体であり「公的団体という表現は不適切」だとした。 |