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燃料電池の試験始まる −全農燃料部 (9/13)


スイッチオンでシステム始動
スイッチオンでシステム始動

 JA全農燃料部は定置用燃料電池の共同実証試験実施にあたり、9月13日に営農・技術センター(神奈川県平塚市)で関係者を集め「起動式」を行った
 燃料電池は、環境にやさしい新エネルギー技術として注目されており、将来組合員家庭への普及が期待されている。実証試験は燃料電池の技術的ノウハウで先進的な立場にある出光興産(株)と共同で行うもので、19年8月までの2年間を予定している。
 全農は16年11月、出光興産(株)と燃料電池実証試験について検討を始めた。その後、具体的な実施内容等を詰め、実証試験実施の運びとなった。宿泊棟に設置し、管理人室に電気と温水を供給する。
 2年の試験期間で、性能および信頼性、耐久性、経済性等の検証を行い、データを収集し、将来の本格的導入に備える。試験では、すでに出光興産が製品化している家庭用燃料電池システムを使用し、水素源は組合員家庭で広く普及しているLPガスを用いる。
 起動式では永田訓祥全農常務が、「今、全力を上げ生産コスト削減に取り組んでいる。原油が高騰を続け、1バレル70ドルを上回ったとの報道があった。とくに施設園芸は、このような状況が続くなら、大変厳しい。燃料電池の実用化に向けた試験で、クリーンで経済性に優れたエネルギーの実現へ一歩でも近づくことを期待します」とあいさつ。また、燃料部窪寺廣高次長が、出光興産と共同で実証試験に至るまでの経緯を説明し、「実証試験は、これからのエネルギーの可能性を探るためとても大切です。大いに成果が上がることを期待します」と、関係者の努力に期待を表明した。
 あいさつの後、永田訓祥全農常務のほか、小澤芳夫全農エネルギー代表取締役社長など来賓とともに、テーブルの上に置かれた燃料電池のスイッチを一斉に押し、起動させた。
 今後、2年間の運転データを集め、将来の実用化に向け備えることになる。今のところ、ランニングコストでは従来の石油、ガスなどと遜色はないが、燃料電池そのものが高いため、そのコストをいかに抑えることができるかが、普及のポイントになる。また、今回はLPガスから水素を供給する形式だが、今後は石油から水素を供給する形式も開発する計画がある。
 起動式の後、会場を本館1階に移し、燃料電池の原理や仕組みなどを、出光興産の関係者から聞いた。新しい技術に関心は高く、参加者一同熱心に説明に聞いていた。

定置式燃料電池イメージ図
定置式燃料電池イメージ図

(2005.9.15)



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