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組合員の多様化ふまえた新たな事業展開を検討
−第24回JA全国大会議案 (10/19)

 18年秋に開催予定の第24回JA全国大会に向けた大会議案の検討が9月29日に開催された第1回大会議案審議会からスタートした。今後、専門委員会での検討を経て来年2〜3月に審議会を開催し4月上旬に組織協議案をとりまとめる。高齢化の進行で農業生産基盤が弱体化するなか農業の担い手づくりがJAの大きな役割となるが、一方で多様化する組合員に対応した新たな事業も検討課題となっている。

前回決議の着実な実践

 3年に一度開催されるJA全国大会で採択する決議は「JAグループの中期戦略」(宮田JA全中会長)だが、農業、農村に果たすJAグループの役割を考えると「わが国農業の将来展望を拓くもの」(同)でもある。
 平成15年10月に開催された第23回JA全国大会では「JA改革の断行」を掲げた大会決議を採択した。なかでも「安全・安心な農産物の提供と地域農業の振興」と「組合員の負託に応える経済事業改革」など4項目を最重点項目とした。
 JA全中が今年4月1日を基準日として全JAを対象に行った調査結果(「JAの活動に関する全国一斉調査」)によると、たとえば、ホームセンター、商系業者などと競合が激しい汎用農薬についての価格調査を実施したJAは74%でそのうち9割以上のJAで競合店より高い品目があった。このうち67%のJAが価格引き下げをしている。
 大口利用者対策では、価格割引などの特別な対策を行っているJAは89%にのぼっている。ただし、対象は肥料、農薬が多く、農機、園芸・包装資材で実施しているのは3割以下のJAにとどまっているという課題もある。また、配送業務の合理化には県域物流の実現を除いて、JA内での拠点統合などには6割以上のJAが取り組んでいる。ただし、物流合理化にともない組合員との接点の役割を果たす営農経済渉外担当者の設置は3割のJAにとどまっている。
 こうした重点項目については、この11月にもJA段階の交流集会を関東と関西で開くなど改革の着実な実践をめざし取り組みを進める。
 第24回大会議案の検討がスタートした9月29日の議案審議会でも、経済事業改革など23回大会で決議した事項は、次回も引き続き取り組む事項として検討していくことが確認された。

新たな事業展開の検討

 一方、24回大会に向けた課題として審議会委員会からは「JAグループの組織、運動は組合員のためにある。しかし、組合員のニーズは多様化が進んでいる。単純で画一的な発想では対応できない」という意見が強調された。
 販売事業、購買事業をはじめその他の事業でも組合員の結集力がJAグループの力を生む。しかし、地域では画一的な事業で多様なニーズに本当に応えることになるのか、そのギャップをどう乗り越えるかが課題として示されたといえるだろう。
 JAでは、たとえば、大規模農家を対象にした効率的な物流体制を構築する一方、小規模・高齢農家が営農するための直売所を設置して支援するなどのほか、土地持ち非農家や准組合員を念頭に置いた渉外活動など新たな事業展開が求められている。同時にJAが多様なニーズに対応する事業展開を行っていけばJAも多様化せざるを得ず、連合会にも新たな事業方式が求められる。審議会ではこうした点も議案検討の今後の課題とすることが確認された。
 また、組合員との結びつきの強化など組織基盤の拡充も前回大会で重要事項とされたが、多様なニーズに応える事業を作りだすには、JAの組織統治や意志決定のあり方を見直すことも検討課題とした。協同組合としての原則を維持しながらこうした課題をどう議論していくのか注目される。
 実質的な議案検討を行う専門委員会にはJAグループ外の学識経験者など4名が加わる。これははじめての試みで「国民に理解が得られる事業、組織にしてきく必要がある」(審議会での意見)ことに応えることが狙い。専門委員会は11月初めに第1回を開く。

第1回JA全国大会議案審議会であいさつする宮田全中会長。
第1回JA全国大会議案審議会であいさつする宮田全中会長。

 

(2005.10.19)


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