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建更を中心に昨年度を上回る伸び
JA共済上半期推進実績速報 (10/19)

◆建更123.8%(前年同月比)と依然、好調に推移

 JA共済連(上原寿宰理事長)は、17年度上半期(9月末現在)の主要共済推進実績速報を10月19日にまとめた。(長期共済関係の数字は保障金額)
 それによると、長期共済新契約実績は19兆6287億円で前年同月比109.0%と好調だった昨年度を上回る伸びとなっている。その内訳をみると、生命共済が5兆5467億円で同83.6%。建物更生共済(建更)は14兆819億円で同123.8%となっている。長期共済新契約実績の構成比で見ると、生命共済が28.3%、建更が71.7%となり、昨年度に引き続き建更中心の推進が行なわれていることがわかる。
 建更が伸びている要因としてJA共済連は、台風や地震など自然災害が多発し、自然災害保障ニーズが強く喚起されたこと。昨年4月に自然災害保障をさらに拡充した新商品「建物更生共済むてき」の販売を開始したことなどをあげている。

◆生命共済の減少大きく保有は3兆8800億円減

 長期共済の保有契約高は期首から3兆8811億円減少し、365兆2752億円となった。内訳を見ると、生命共済は期首から5兆847億円減少し、建更が1兆2036億円の増加となっている。減少の主な要因としてJA共済連は「解約(前年同月比95.9%)、失効(同76%)による減少は抑制されたが、依然、満期契約が高水準で推移(同102.3%)」しているためだとしている。保有契約高はここ数年減少を続けているが、「昨年度より7228億円、保有契約高の減少額が抑制されている」と、やや歯止めがかかってきているとJA共済連はみている。
 生命共済では、いわゆる第3分野商品に相当する「医療共済べすとけあ」(16年4月発売)が新規契約で前年同月比130.2%(952億円)、「がん共済」(14年4月発売)が同132.3%(935億円)と伸び、生存保障ニーズへのシフトにようやくエンジンがかかってきたといえる。

◆年金共済、自賠責共済は前年を上回る

 年金共済の新規契約は883億円(年金年額)で前年同月比116.4%。保有高も期首より513億円増の1兆8179億円となった。年金共済は16年度に前年度比74%と大きく落ち込んでいたが、ここにきて「運用実績で予定利率が変動し受け取れる年金額が増えるメリットがある『予定利率変動型年金共済ライフロード』(16年4月発売)への評価が高まったためだと考えられる。
 自動車共済は、件数で420万件(前年同月比99.1%)、掛金1592億円(同97.3%)と前年を下回る実績となっている。また、自賠責共済は台数が171万台(同102.4%)、掛金400億円(同108.7%)と前年を上回り順調に推移している。

◆変化するニーズにどう対応していくのか

 上半期の推進実績を見ると数字の上では前年度を上回り好調に推移しているといえるだろう。しかし、将来的にみたときに、建更に大きなウェイトをおいた推進に危惧を抱かざるをえない。「建更5型」や「建更10型」から「建更むてき」への転換が現在の建更躍進の原動力ではないか。また、自然災害の多発もあり推進のしやすさもあるといえる。そのために推進がしにくい生命共済に力を注がなくても長期共済の目標が達成できることになる。しかし、旧来商品から「むてき」への転換が一巡した後、生命共済中心の推進がスムーズに行なえるのか疑問が残る。
 JA共済は「ひと・いえ・くるま」の総合保障というが、現在の状況をみると「いえ」(損害保険)中心となっている。しかし、協同組合共済の基本は「ひと」つまり生命共済ではないか。「ひと」の分野でも生存保障ニーズの高まりだけではなく「死亡保障額を1000万円以下に抑える契約者が増え」「死亡保障の少額化鮮明」(日本経済新聞10月19日朝刊)などニーズは確実に変化してきている。こうした変化への対応も含めて、課題は多いのではないだろうか。

(2005.10.20)


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