農業協同組合新聞 JACOM
   
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消費者も含め農業を支える人は担い手 
−食・農・環フォーラム2005 (11/8)

5名のパネラー
5名のパネラー
 11月8日、ルポール麹町で「食料・農林漁業・環境フォーラム2005」が開催され、『これからの日本農業は誰が担うのか』をテーマにパネルディスカッションが行われた。
 新たな経営所得安定対策大綱が10月27日に決定され、19年度から、生産者に経営規模などの要件を設定し担い手として施策を集中する。フォーラムではその担い手に焦点をあて、生産現場の状況などを5人のパネリストが語り合った。約250名の参加者との質疑応答も行われ、担い手に対する理解を深めた。
 パネリストは忠聡有限会社神林カントリー農園代表取締役、福西義幸農事組合法人「酒人ふぁーむ」理事、桜井美代子新潟県農村地域生活アドバイザー、下島芳幸JA上伊那営農部営農企画課長、学識経験者として楠本雅弘山形大学農学部教授の5名。司会は、岸康彦氏(財団法人日本農業研究所研究員)が務めた。
 パネルディスカッションでは、「農事組合法人の形で若い人を雇用し、生産活動を行っている。前職がサラリーマンだった人もいて、手取り足取りで技術を教えながらやってきた。組織として担い手を育てている面が強い」(忠聡氏)、「高齢者からお願いされて機械作業等を受託するなかで農地が集中するのが実態で、担い手として自覚した人が農地を集めた結果ではない」(福西義幸氏)、「家族世帯員が平等の立場で農業経営に取り組む『家族経営協定』を夫と結び、就業条件や役割分担などを決めた。農業をやって初めて給料を貰った。夫とは同じ立場で、農業経営や技術的なことを話し合えるようになった。それまでは、なかったこと」(桜井美代子氏)、「担い手基準は、地域振興政策なのか産業政策なのか、位置づけの曖昧な部分がある。消費者も含め農業生産を支える人はすべて担い手と考えるべきだ」(下島芳幸氏)、などの発言が続いた。また、楠本雅弘氏は「農村は大変な人手不足で、中山間地域に住む人も減っている。このままでは、日本農業崩壊前の10年間となるおそれがある。担い手に関して言えば、担い手として認定されても高齢者が多く、あと10年くらいで引退せざる得ない。なんとしても、次の世代が希望を持って農業に入ってこれるようにしなければならない」と語り、農業を取り巻く厳しい現実を紹介した。
 会場からは、「自分は都会に住んでいるが、ふるさとの自然を守ってくれるなら多少の負担はする」との声がある一方で、「安全なし農産物であれば、どこの国のものでもかまわない」、「社会全体で構造改革を進めて行く機運が高まっているが、農業も構造改革を行い、もっと効率的な生産はできないか」などの意見が出た。それに対し、福西義幸氏や忠聡氏は、「ふるさとを守るのはそこに住むひとの義務だと思います。しかし、自分たちは痛みを引き受けずただ安いからという理由だけで、農産物を選択するようなことはしないで欲しい」と、消費者にもある程度の負担は必要ではないかと問いかけた。
 担い手については、集落営農などを通じて消費者や農地を提供する人なども含めた農業に関わる人すべてが含まれる方向が望ましいのでは、との声も多くあった。誰を担い手とするかはこれから決まってくるだろうが、次の世代が中心となって農業の展望を開くことができる道が求められている。
(2005.11.11)


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