◆外部有識者は石田教授ら3氏
来年開催される第24回JA全国大会の議案審議専門委員会の第1回会合が、11月10日東京・大手町のJAビルで開催された。
この専門委員会には、組織代表や全国連からの委員に、初めて外部有識者として、嶋津昭・(財)地域総合整備財団理事長、石田正昭・三重大学生物資源学部学部長補佐、多賀谷充・青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授、が加わった。
専門委員会には、JA全中が「第24回全国大会議案の方向性について(案)」が提案され、各委員から意見などを聞いた。
◆担い手育成・支援を軸に地域農業を振興
提案された「方向性」では、JA・農業・農村をめぐる環境について、担い手要件の決定など新たな基本計画の具体化、WTO農業交渉による国境措置の見直しなど大きな転換点を迎えており、JAグループがこれまで以上にどのような役割を発揮できるか極めて重要な局面にあると指摘している。
同時に、従来JAと関係の強かった60〜70歳代の正組合員層が今後10年でリタイアし、JAの組織・事業基盤の量的質的な弱体化、財務基盤の弱体化を招くことが懸念され、新たな農業政策の展開過程ではこの傾向はさらに強まることが想定され、また、JAに改革を求める動きも強まると分析。
そうしたなかでJAグループの果たすべき役割として、
▽担い手育成・支援を軸に地域農業を振興し、食料の安定供給、農業の多面的機能の発揮を通じて、地域住民・消費者の期待に応える。
▽農村地域社会・集落、地権者の協力なくして担い手育成はすすまず、担い手育成を通じて農業者・組合員の多様化は一層進展する。このため、多様化した組合員・地域住民のニーズをとらえその生活に貢献する。
▽食料の安定供給、農業の多面的機能発揮、農村地域社会における豊かな生活は効率化のみでは実現しない価値であり、協同活動の支援・展開を通じて、これらの価値の実現に貢献する
ことを強調している。
◆地域の状況、組合員の多様化踏まえ「中期ビジョン」をJAが策定する
そのうえで都市近辺や中山間地などJAの置かれている状況が違うことや組合員の変化・多様化を踏まえ、それぞれのJAが自らの「地域における役割」「注力すべき事業・活動分野」を明確にした「中期ビジョン」(将来到達したい目標・姿)を策定する必要があるとした。
策定にあたっては、▽組合員・地域住民の課題・ニーズの把握▽地域資源の把握▽JAの持つ経営資源、強み・弱みの確認▽担い手・組合員数、収支のシュミレーションなどの実施に取り組むことが必要だとしている。
また留意すべき点として、▽JAとして将来にわたってどのような層(法人・大規模農家・小規模農家・新規就農者・地域住民など)に組合員になってもらうかの方針を明確化する。▽現在、各JAが事業ごとに発揮している機能とその見通しを踏まえて、事業ごとに連合組織との機能分担見直しを検討する、ことをあげている。
専門委員会では、JAは多様な中期ビジョンと戦略を有することになるが、JAグループ全体としての方向性を出すのが全国大会ではないか、JA合併や組織2段を進めてきたがその評価はどうか、連合会との機能分担は進むのか、担い手以外への対応を明確になどの意見が出された。
次回は12月8日(木)を予定しており、今後この「方向性」を順次具体化し、大会議案組織協議案を取りまとめていくことになる。 |