農業協同組合新聞 JACOM
   
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直販青果センターを会社化し競争力を強化
−全農経営役員会で決定 (11/17)

◆競争力を強化し国産青果物の売場を確保

 JA全農は11月17日の経営役員会で、来年6月に園芸直販新会社を設立し、9月から園芸販売の直販事業を行なっている首都圏青果センター東京(埼玉県戸田市)・同大和(神奈川県大和市)、大阪青果センター(大阪府高槻市)の事業と全農青果サービス(株)の青果物販売事業要員などを新会社に移管し、営業機能を集約、契約や買取りによる取り引きの拡大によって直販青果事業の競争力強化をはかることを決めた。
 新会社は全農全額出資となるが出資金については現在検討中。要員は、全国本部職員の転籍・出向による約170名、全農青果サービスからの転籍約60名の合計約230名となる。これによって、各センターは東京支社・大和支社・大阪支社として業務を行う。
 全農直販センターは、予約相対取引の導入、規格や包装の簡素化、生協と連携した産地開発などによる事業展開などによって、開業直後の事業分量327億円から1300億円規模にまで拡大してきた。全国の青果物流通量や東京中央卸売市場の取扱高が減少するなかで、直販青果センターは堅調に事業分量を維持しており、青果物流通業界で確固たる地位を築いてきているといえる。
 しかし、輸入青果物の拡大、卸売市場法改正による競合の激化など事業環境は大きく変化してきている。そうしたなかで今後も事業を拡大していくためには「競争力の強化が喫緊の課題になっている」ことや、園芸販売職員の45%が50歳以上という年齢構成の是正、量販店などの営業体制に対応した年中無休の営業体制の構築、青果物販売に関する専門性の発揮など「抜本的な改革が必要」なことから会社化を決定した。
 一言でいえば「競争力を強化して、国産青果物の安定的な売場の確保、シェアを拡大する」ため。
 直販青果センターを会社化した後の全農全国本部の園芸販売事業は、園芸改革のなかで検討をすすめることになるが、▽県域とも連携した需給調整、▽現在17県本部・経済連から委託されている代金決済など債権管理、▽食農教育など消費拡大の推進、▽行政対応などになると見られており、30名前後の要員体制が想定されている。

◆問われる協同組合における会社化の意味

 全農では畜産センターの会社化についても検討しており、近々、具体的な計画が決定される予定となっている。これが実現されれば全農の直販事業のほとんどが会社化されることになるが、協同組合における事業の子会社化について改めて論議がされる可能性は大きい。
 これについて加藤一郎専務は記者会見で「労働生産性、専門性、即決即断できるなど機能論では会社化になる」としたうえで、▽株主が全農やJAグループなどに限定されている▽経営理念を全農と子会社が共有化し、全農はチェック機能をもつなど、「全農の子会社は通常の株式会社とは違う」と述べた。また、子会社は全農を補完した上で財務の健全性を確保するとともに、生産者やJAなどに、業種別に競争力があることを証明しなければならないとも述べた。
 全農事業改革の一環として子会社の再編についても検討され、12月上旬には全中の販売事業等検討委員会の改革案がまとめられることになっているが、販売事業における全農全国本部がどのような機能を発揮することになるのかが注目される。

(2005.11.18)


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