9条を中心とした改憲への動きが強まっていることから、農林水産関係者からも憲法改悪を阻止するための運動を広げようと今年5月に結成された農林水産「9条の会」が11月23日、初の呼びかけ人会を開き、憲法改正阻止と運動への賛同を訴えた。
呼びかけ人は農政改革と憲法改正の動きが結びついていることを指摘。「自給率向上につながらない特定層だけ支援する農政は、食料確保のためには軍事力強化が必要だという話になるのではないか」(暉峻衆三・元東京教育大教授)、「かつて農林予算と防衛予算は同規模だったが、今、農林予算は3兆円を切り、一方防衛費は5兆円。9条を守らねば、が実感となってきた」(坂本進一郎・農業)、「農政は強きを助け、弱きを挫く方向になっている。農政の変化と9条改正が結びついている問題の深刻さを理解してほしい」(梶井功・東京農工大名誉教授)、「改正案では愛国心を持て、というが自給率を見ればまったく愛国心がないではないか。暮らしのなかに憲法を生かす説得力ある運動をしていきたい」(宮村光重・農業農協問題研究所理事長)などの声が相次いだ。
また、「農家には犠牲者の写真が必ずといっていいほどある」(佐々木健三・農民連会長)と太平洋戦争では農村部から多大な犠牲者を出したことや「海に囲まれた日本では軍事訓練でも漁業は圧迫される。戦争となれば船は徴用。漁業は平和でなければ成り立たない」(河井智康・海洋サイエンティスト)との指摘もあった。
「9条の会」は昨年6月に井上ひさし氏、大江健三郎氏らが結成した。その後、各分野、地域で約3000の組織が結成されている。
農林水産「9条の会」賛同者は443名(11月22日現在)。今後、県別の会の結成よびかけや署名運動、ブックレット「私と憲法」(来年1月予定)発行などに取り組み、憲法改正を問う国民投票がかりに行われた場合でも、農山漁村で過半数の人が「ノー」を突きつけることを目標に運動を展開する。
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