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挨拶する武田厚生連会長 |
JA厚生連とJA全中は共催で「農山村地域の保険・医療・高齢者福祉を守るJA要請集会」を、12月20日に全共連ビル6階マツヤサロンで開催した。各県厚生連の会長・常勤役員・参事など約250名が参加した。
武田弘道厚生連会長は、「12月1日に医療制度改革大綱が決まり、高齢者にも応分の負担を求めるなど、保健、医療、高齢者福祉事業を行うJAや厚生連にとっては厳しい経営環境になることが予想される。それらの事業を通じて組合員や地域住民を支援することが我々の使命であるが、今後ともこのようなサービスを守っていくためには、農山村地域の特殊性を考慮した措置が必要。特に16年4月から実施された医師の臨床研修制度により、農山村地域に立地する病院では医師不足が深刻化しているため、医学部入学定員削減の見直し、医師の地域偏在の是正など実効性のある医師確保対策が求められている」と挨拶し、都市部と農山村地域の医療に質的な差が生じないような措置を訴えた。
自民党の有志でつくる『農民の健康をつくる会』幹事長の宮地和明氏は「JAの厚生連病院や福祉事業は、農村地域では欠くことのできないもので、大切な役割を果たしている。JAは病院は経営できるのに、なぜ老人ホームは経営出来ないのか。老人ホームは都道府県、市町村、地方独立行政法人、社会福祉法人にしか経営が認められていない、この規制を取り払いJAグループが医療と同様に福祉の面でも存在感を発揮して、地域住民の健康に貢献できる道を切り開く必要がある」と、福祉の面でもJAグループは期待されていると述べた。
■高齢者福祉への支援策等を国に要請
集会では、18年10月メドに実施が予定されている医療制度改革大綱等について、全中前澤正一常務、厚生連沼田清剛理事長が情勢報告した。
医療制度改革大綱では、医療療養ベッドでの居住費、食費の自己負担を始め、20年度の新高齢者医療制度の創設まで、向こう3年間の改革メニューが決まった。高齢者の自己負担増や、診療報酬の引き下げなどが主な内容で、都市部に比べ高齢化・過疎化の進んだ農山村地域での医療が割高になるなどの問題が指摘されている。また、都市部に比べて農山村地域では、福祉サービスの利用機会や事業の選択が限られ、質の高いサービスが受け難い傾向がある。医療制度改革の推進による医療費適正化や、介護保険制度を将来にわたり持続するための制度改革は、農山村地域住民の保健・医療・高齢者福祉を確保するため重要な課題だと、厚生連が直面する問題を解説した。
そのうえで▽高齢者福祉事業基盤整備の支援対策、▽実効ある新たな医師確保対策、▽診療報酬等の見直しに係る対応、▽病院等施設・設備等の助成措置、▽超長期低利資金の融資制度の存続、▽特別養護老人ホームの開設規制緩和措置、の要請決議を経営管理委員の安田壽男氏が読み上げ、国に要請した。
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