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明けましておめでとうございます。
全国の酪農生産者の皆様並びに会員役職員の皆様におかれましては良き新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。
日頃より、弊会事業に特段のご支援ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
平成19年の年頭にあたり一言ご挨拶申し上げます。
昨年の酪農乳業界においては、飲用牛乳の消費低落並びに過剰乳製品在庫の削減のため、平成6年度以来の減産型の生乳計画生産を実施せざるを得ない厳しい状況でのスタートとなりました。中央酪農会議が公表している平成18年度4〜10月期の全国の生乳総受託乳量は減産型の計画生産を受けて前年同期比で97.7%となっていますが、飲用牛乳向けは同95.4%であり、依然として生産が消費を上回っている状況にあります。
牛乳の消費量は平成16年7月から連続して前年同月比を割り込む傾向が続いており、豆乳や茶系飲料、そして次々と新商品が発売される清涼飲料といった競合商品の台頭もあり、「暑くなれば牛乳は売れる」という消費構造にも変化が訪れてしまったようです。このように我々生産者サイドが懸命の努力をしている中で消費が低落していくことは大変憂慮すべき事態ではありますが、生産と消費のギャップは少しずつ縮小されつつあり、乳製品の過剰問題解消にも一定の見通しがたちつつある状況になってまいりました。 一方、牛乳乳製品の栄養価は誰もが認めるところであり、国民的に健康志向が高まっている今こそ、改めて牛乳乳製品が素晴らしい食品であることを広く伝えようと、酪農乳業界では牛乳乳製品の消費拡大対策として「3−A−Day運動」や「牛乳に相談だ」といったキャンペーンを一致団結して推進してまいりましたが、昨年度はさらに全国酪農青年女性会議が主として推進いたしました「父の日に牛乳を」キャンペーンを展開致しました。弊会といたしましても、このような企画には全面的にバックアップして協力いたしました。
今後とも消費拡大運動は、牛乳離れが著しい若者向けにマスコミやインターネットを駆使して地道に粘り強く展開していく必要があるものと考えております。
次に、2006年中に最終合意を目指しているWTO交渉では、焦点となっている農業分野での6月末の閣僚級会合及び7月下旬のG6の閣僚会合にて集中的な議論が実施されましたが、合意に至らず、交渉は中断いたしております。その後交渉の早期再開のための動きはありますものの、米国の大統領選挙後にならないと本格的な交渉にはならないのではないかという見方が大勢を占めている現状であります。
一方、ここ最近においては、オーストラリアとのFTAの問題が急速に浮上してまいりました。FTAはご存知のとおり、協定構成国のみを対象として、物やサービスの貿易自由化を行う協定で、実質上すべての貿易について、原則として10年以内の関税撤廃を交渉するものです。オーストラリアは農業の重要品目については、柔軟に対応するとの姿勢を打ち出しておりますものの、5〜10年後のうちに乳製品の関税が撤廃されると、我が国の酪農には壊滅的なダメージをもたらすものであるとの強い危機感を持っております。農政調査会・貿易調査会としての結論は本年の3月までとなっておりますが、トップにより交渉OKということになりますと大変なことになります。従いまして、このFTA交渉は我々としては、「交渉しない」という断固たる姿勢を崩すことはできないものと考えております。
さらに米国においては、ガソリンの代替燃料として、トウモロコシから生成されるエタノールの製造工場が補助金をもらって続々と建設されており、その量は我が国に輸出している量と同等くらいなっております。従いまして、米国が豊作であっても、トウモロコシ価格が下落しない、あるいは手当が難しいとの状況が危惧される状況であります。
また、粗飼料の主産地でありますオーストラリアの旱魃による生産量の減少、それを補うべくメキシコ等からの輸入も具体化しつつありますが、残留農薬の問題等については課題を残したままであり、「安全・安心」を追求している我が国酪農のニーズにあった粗飼料が確保できるかは依然課題を残したままであります。
このように、酪農を取り巻く情勢は厳しくなっていますが、弊会としては、酪農生産者・会員の皆様の期待に応えるべくこれからも事業を推進して参ります。「第7次中期修正計画(5か年)」も、今年度は4年目となり、平成20年度は最終年度となってまいります。
今後も会員皆様のご協力と行政・関係団体のご指導ご支援による経営基盤強化を図りつつ、専門農協組織の体制の整備・強化、高品質な飼料や酪農資材の供給、さらに高度化した個別酪農生産者の経営発展に貢献しうる生産技術指導・情報提供等を推進いたします。
酪農生産者・会員の皆様のご要望にお応えし、我国酪農の振興と発展に寄与するため、平成19年においても弊会は役職員一同精一杯の努力を傾けて取り組んで参ります。
最後に、関係者の皆様のご健勝とご発展をご祈念申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
(2007.1.4) |