農業協同組合新聞 JACOM
   
谷 明正
社団法人 日本農業機械化協会 会長
各界から新年のご挨拶
農業の機械化推進で農業経営改善と生産力の拡充を

赤保谷 明正氏

 農業を巡る非常に厳しい国際情勢の中で、日本農政が大きな変革を始める2007年が始まりました。そして、この年が今後のわが国農業の方向を規定する年になることでしょう。
 私ども日本農業機械化協会は昭和32年に "農業の機械化・畜力化に関係あるものを会員とし、会員相互の連絡提携と、農業機械化・畜力化の啓発指導を図り農作業及び農業経営の合理化を進め新農村の建設に寄与する目的(設立許可申請書より)"をもって設立され、関係各位のご支援を得ることで、今年で50周年を迎えることになりました。
 その後、変遷はありますが、「農業の機械化、施設化により農業経営の改善に資するとともに、農業の健全なる発展に寄与すること(定款より)」とする目的は変わりなく、農業の機械化による(1)農作業における労働強度の軽減、(2)生産性の向上、(3)農業経営の改善等を目指すものであります。そして、"農業者団体、関係団体、農業機械メーカー"で構成しているこの会の終局の目的は、―農業者にとっての機械化問題を具体的に一歩一歩進める、ユーザーにとって有益な団体であること―を基本としています。
 現在、国は食料の安定供給の確保や農業・農村の発展を図る観点から「21世紀新農政2006」において、国内農業の体質強化に向けて、担い手の育成・確保と併せ、食料供給コストの縮減に向けた強力な取組みを推進することとしています。 我々農業の機械化を推進する立場としては、国内農業の体質強化に向け、担い手による規模の拡充や生産コストの縮減を図るため、農業の機械化として、あるべきより効果的な機械導入とそれにともなう効率的な機械利用が不可欠との認識を持っております。
 かつては国が積極的に農業の高位生産力構造を目指し、高性能な農業機械の導入を推進してきましたが、最近は都道府県への税源移譲が行われたこともあり、都道府県主導によるところの取組みが非常に大きな意味をもつことになりました。反面、これまでの農業の機械化の名のもとに農業構造並びに農業経営の改善に対する行政からの働きかけが希薄になってきたように感じられます。
 若い担い手農家が当然のごとく夢も希望も持って農業に取組み、あるいは地域ぐるみで安定した営農に取組むためにも、これまで以上に"安全な農作業"のための条件整備に配慮しながら、オペレーターの確保と、オペレーターに対する労働負担を軽減し、高性能な農業機械をより効率的に活用し、生産性の向上に寄与し、農業と農家経営の安定とを図ることが極めて重要であると考えます。
 "農業者にとって、農業の機械化とは何か"ということを、投入コストとそこから得られる効果とを含めて、真剣に考え、これから必要とされる機械の開発方向や普及の方策、特に営農面からは当然ですが、経営の視点からの機械利用のあり方を関係者が議論し、共通の認識を持って取組むことが今求められていると思います。
 当協会におきましても、設立当時の理念に立ち返りながら、一層の農業の機械化の推進による農業経営の改善と農業生産力の拡充に取組んで参ります。皆様方のご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。

(2007.1.4)


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