農業協同組合新聞 JACOM
   
宮田 勇
全国農業協同組合中央会 会長
各界から新年のご挨拶
食と農を結ぶ活力あるJAづくりで実りある年に

宮田 勇氏

 新年明けましておめでとうございます。
 昨年は、戦後農政の大転換というべき経営所得安定対策等大綱の決定を踏まえた農政改革関連3法の成立、WTO農業交渉の凍結と各国とのFTA(自由貿易協定)・EPA(経済連携協定)をめぐるさまざまな論議の展開など、わが国の食料・農業・農村にとって極めて重要な一年となりました。また、JAグループにとっては、第24回JA全国大会を開催し、今後3年間の取り組み基本方向を示した大切な年となりました。
 こうした中、今年は、次の課題に重点的に取り組んでまいりたいと考えています。
 まず、19年産から始まる経営所得安定対策等大綱への具体的な取り組みです。
新たな品目横断的政策の導入に伴う担い手の育成確保を着実にすすめるため、全てのJAでの「担い手づくり戦略」の策定・実践を通して政策の対象となる担い手を地域ごとにつくり上げる取り組みを徹底します。目標として、米で5割、麦・大豆で10割を認定農業者や集落営農などの担い手で担うこととしています。さらに、つくりあげた担い手への個別事業対応と経営指導の強化を図っていきます。JA・県域・全国のそれぞれの組織が役割を発揮し、担い手育成に取り組まねばなりません。一方、協同組合理念にもとづき小規模・兼業農家、定年帰農者など多様な農業者への支援にも引き続き取り組んでまいります。
 また、米政策改革については、新たな需給調整システムへの移行に伴い、JAグループ自らが主体的な取り組みを求められるなかで、計画生産の実効確保を図る必要があります。このため、集落からの将来像の地域水田農業ビジョンの実践強化を図るとともに、JA米事業の改革を推進していきます。
 農地・水・環境保全向上対策においては、地域に根ざすJAグループとして資源の保全に努めるため、地方自治体への働きかけを徹底するとともに、関係機関との連携強化を図ります。
 これらの諸課題については、行政・農業団体の関係機関等が一体となって取り組むことが重要であり、そのための体制づくりをすすめてまいります。
 次に、当面凍結とされたWTO農業交渉対策です。交渉再開は依然不透明ではありますが、JAグループとしては引き続き政府・与党と一体となった取り組みや主張を共有するG10農業団体との連携強化を基本としつつ、広範な国民の支持と理解を得る取り組みをすすめてまいります。また、これからは世界的な規模で2国間や地域間でのFTA・EPA交渉が進むものと思われますが、JAグループとしてはアジア諸国を中心とする世界各国の農協間・農業者間協力を着実に実践に移し、「相手国との相互発展と繁栄」「農業者の生活の質と所得向上」の具体化に取り組みます。
 昨年10月に開催した第24回JA全国大会では全国から約2500人が参集し、「食と農を結ぶ活力あるJAづくり−『農』と『共生』の世紀を実現するために」とのテーマを掲げた議案が決議されました。それを受け、JAグループは今後、担い手づくり・支援を軸とした地域農業の振興と安全・安心な農畜産物の提供、安心して暮らせる豊かな地域社会の実現と地域への貢献、組合員加入の促進と組合員組織の活性化など組織・事業基盤づくり、新たな事業方式の確立等競争力ある事業の展開と万全な経営の確立の4点に取り組みます。また、JAグループのビジョンと主要な取り組みを踏まえ、それぞれのJAが地域の実態や組合員のニーズに正面から向き合い、「地域における役割」「注力すべき事業・活動分野」等を明らかにしたビジョンをとりまとめ、組合員をはじめとする利用者・地域住民の信頼を得るための戦略を策定していきます。
 以上、今年取り組むべき重点諸課題について申しあげました。
 今年がJAグループにとって実りある年となるよう、私といたしましても「食と農を結ぶ活力あるJAづくり」をめざすJAグループの先頭にたち、これらの課題に邁進していく所存です。

(2007.1.4)


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