|
||||
解説記事 |
販売リスク管理ふまえ直売拡大にも取り組む |
レポート 売れる米づくりへの挑戦 JA鳥取中央 |
米価が低迷する厳しい状況のなか、各地で売れる米づくりに向けた努力が続いている。JA鳥取中央(鳥取県)は果樹や園芸作物などの出荷が多く、全販売額に占める米の割合は約15%と、全国平均に比べて低いが、それでも16年度実績で農協集荷分は9000トンある。大部分は全農委託だが、16年度にはじめて290トンを直売した。小売り業者を対象に、県内中心で販売した。「自分たちで作った米は、自分たちで売る」を合い言葉に生産者の手取りを増やすことをめざし、JAの責任で生産者からの信頼を得たいとしている。ただ、直売にはさまざまなリスクもある。直売のリスク回避のための対策では、県内他JAの経験を共有することなどで万全を期したいとする。 |
同JAは梨、ブドウなどの果実、スイカ、イチゴ、メロンなどの園芸作物、畜産の出荷額が多く、16年度実績で米は22.3億円。これは、全体出荷額150.3億円の約15%で、米の割合は高くない。しかし、売れる米づくりに向けた取り組みで、JA米に加え、減農薬・減化学肥料で作る特別栽培米などを生産している。 ◆悩む生産者の声を受け止めて JAは生産者に対し集落座談会などを通じ、(1)三朝米、せきがね米など、行政と一体となって管内の地域ブランドの宣伝・販売を進める、(2)生協、米穀会社、酒造会社などとの契約栽培を拡大すると同時に、産地交流会による消費者との連携強化、(3)直販を拡大するとともに、地域内での販売強化の推進、などの売れる米づりに向けた取り組みを説明した。また、生産部会にもJAの方針を理解してもらうと同時に、米価低迷で苦しい台所事情から何とか手取りを多くしたいという生産者の意向を汲み上げ、販売対策を強化する取り組みを行っている ◆自分たちで作った米は、自分たちで売る 「290トンの農協直売分以外の販売は、全農に委託。今のところ直売分はわずかですが、今後はもっと直売の割合を高めて行きたいと思います。それは生産者が望んでいることであり、JAが生産者から信頼されることにつながると考えています。米価の低迷で生産者は苦しい。それをなんとか打開すると同時に、消費者から求められる米を生産できる産地をめざしたい」、農産部米穀課の永代達憲課長はJA直売に取り組む理由についてこう話す。
◆リスク回避が課題、他JAと経験を共有 「米をブランド化し、売れるためには、ストーリーが必要。例えば、良い水と良い米で美味いお酒ができるよう、その米の誕生に関するドラマチックなストーリーを作るなり見つけるなりしたいと思っています。話を聞いて誰もが納得するストーリーであれば、ブランド化は半分成功したといえる。管内で生産している米にストーリーを加わえて、早く全国区になれるよう頑張りたい」。 ◆直売所でも米を販売、毎月平均した実績 一方、小売り業者への販売とは別に、管内の農産物直売所でも米の販売を行っている。その一つが倉吉パークスクェア内にある「フルテリア」だ。
◆全農に情報提供などを期待 「直売といっても、まだ290トン。ほとんどは全農委託です。ことざくら米、三朝米など我々が開発し、直売を進めているいくつかの米は、現在全農委託でも販売しています。今後もそのような形で協力してもらうと同時に、主に販売情報などの提供を期待しています」。JA鳥取中央の米直売はまだ始まったばかり。委託分、直売分いずれも生産者と消費者の架け橋機能を持つ全農との連携が欠かせないと、永代課長は語る。 |
||||||
(2005.9.6) |
特集企画 | 検証・時の話題 | 論説 | ニュース | アグリビジネス情報 | 新製品情報 | man・人・woman | 催しもの 人事速報 | 訃報 | シリーズ | コメ関連情報 | 農薬関連情報 | この人と語る21世紀のアグリビジネス | コラム | 田園交響楽 | 書評 |
||
社団法人 農協協会 | ||
|