第24回JA全国大会決議でJAバンクは「担い手のメインバンク」として、金融ニーズに対応することを決めているが、その支援策のひとつとして農林中央金庫は新たな大型ローンなど新資金を創設する。品目横断的経営安定対策の対象者向けの「アグリスーパー資金」は国からの交付金が支払われるまでの当座貸越型の資金で集落営農組織なども融資対象。もうひとつが大型機械導入などを支援する「JA農機ハウスローン」で審査期間を短縮するなど利便性を高める。また、品目横断的経営安定対策の対象者以外の農業者や小規模経営など「多様な担い手」が利用できるのもこのローンの特徴だ。 |
多様な担い手向け農機ローンも
◆集落営農も融資対象
「アグリスーパー資金」は、国が定めた品目横断的経営安定対策の対象者向けの当座貸越型の資金。
品目横断対策のうちの生産条件不利補正対策の交付金は、過去の生産実績に基づく支払い(緑ゲタ)と生産量と品質に基づく支払い(黄ゲタ)からなる。ただし、JAから支払われる販売代金と国からの交付金が支払われる時期は異なり、たとえば19年産の秋播き麦なら、緑ゲタ部分は19年12月、黄ゲタ部分は20年3月となる見込み。
このため品目横断対策の対象者では当座の運転資金ニーズが高まることも考えられる。そのニーズに応えるものとしては、現在、認定農業者向けの制度資金であるスーパーS資金があるが、集落営農組織などは品目横断対策の対象要件は満たしていても、スーパーS資金の対象ではない。今回、農林中央金庫が創設する「アグリスーパー資金」は集落営農組織も融資対象となるのが大きな特徴だ(図1)。
また、融資の上限金額もスーパーS資金は2000万円までだったが、新資金では販売代金や品目横断対策で支払われる交付金(緑ゲタ)のうち、JAに入金される金額まで上限を引き上げる。
新資金は基本的に無担保だが、JAへの販売代金と交付金の入金管理と、支払われた資金が生活資金に流用されないよう資金管理を実施していく。
農林中央金庫は1月末に全国版の要綱を策定し各県に提案、今後、県段階で対応を検討し新年度から取り組む見込み。
◆スピード重視の農機ローン
一方、新たなローンの「JA農機ハウスローン」は大型高性能機械やハウスなどの設備導入のための必要資金として1000万円を上限として融資するもの(図2)。
農機や施設導入のための融資としては認定農業者などを対象とした農業近代化資金があるが、審査に時間がかかることもあってノンバンク系からの資金調達をする生産者もいる。
そこでこの新設ローンでは、JAが各種ローン用に策定している統一の融資審査チェックシートを活用することにし、審査期間を原則3日程度に短縮する“スピード重視型”とする。
また、対象も認定農業者や集落営農だけでなく、小規模農家なども利用できる仕組みとし「多様な担い手を支援する」(農林部)新たなローンとした。
他行の農機ローンでは上限金額が500万円程度だったが、新ローンは上限1000万円。大規模化した担い手では1000万円を超える農機の導入も増えると想定されることに対応した。スピード審査などクイックレスポンスを打ち出すことで、他行を利用している農業者を呼び戻すための借り換えも対象に推進していく。
このローンについても新年度に向けて、各県での取扱いが検討される見込みとなっている。
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