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解説記事 |
18年度JA全農肥料農薬事業の重点課題 生産基盤の強化と農家手取り拡大へ 小高根利明 JA全農肥料農薬部長に聞く |
◆肥料はデリバリで農薬は大型規格で担い手に対応 トラック満車直行で選択の幅を広げる −肥料 小高根 新しい全農をつくるために痛みをともなう改革ですが、これをキチンと仕上げて生まれ変わる思いで職員が一丸となって取り組んでいます。 ――「新生プラン」の具体策として生産資材部門では「生産資材コスト低減 チャレンジプラン」に取り組まれていますが、肥料農薬部門の重点課題はなんでしょうか。 小高根 一つは「新生プラン」に掲げられている担い手対策です。将来、地域の農業を支えていく担い手の方々に評価されるJAグループでなければなりませんし、評価につながるような新しい商品や施策を肥料農薬部門として打ち出していかなければいけないと考えています。 ――アラジンについてはどうですか。 小高根 これは全農の商品ですから、今年の7月からの18肥料年度から港湾倉庫からの直行価格を設定します。そのときに肥料メーカーのご理解をいただき化成肥料について一挙に選択の幅が広がるようにしていきたいと考えています。 大型規格品を5年間で40品目に拡大 −農薬 ――農薬についてはどうですか。 小高根 系統独自の大型規格品の充実が有力な手法になると考えています。現在、大型規格品は17品目ありますが、21年度までに40品目に拡大していきます。 ――18年度中には何品目増えるのですか。 小高根 25品目程度にしたいとは考えていますが、どういう品目を増やせばいいか、いま担い手を対象にアンケート調査を行なっていますので、それを踏まえて考えていきます。 ――営農経済渉外員制度については… 小高根 これについては4月1日から営農総合対策部の担い手対策室と一緒になり一本化し、営農総合対策部担い手渉外グループとして進めていきます。 ◆地域にふさわしいコスト低減プランを作成 ――担い手だけではなく一般の組合員にもメリットがある生産資材のコスト低減については… 小高根 低コスト資材の提供については、いままでも統合メリットの還元など各県域で取り組んできています。今回のチャレンジプランでも、必要とされる生産資材は地域によって異なりますので、JAごとに地域にふさわしいコスト低減のためのプランをたて、県域では全国目標と県域の実態をふまえたマスタープランをつくり、実行していくことにしています。 ――最近は、ホームセンター(HC)やディスカウント店(DS)と比べてもJAの方が安い品目が増えてきていますね。 小高根 ここ十数年の間にHCとかDSなど新しい業態が進出してきて競合状態が生まれました。こうしたところとの競争に勝つために、多くのJAや県域では競合店の価格などを調べて「JAは高い」といわれないような価格設定を行なってきています。負けない価格を実現するために、仕入面だけではなく、値入ミックスを導入するJAもあり、そういう取り組みの成果がでてきていると思いますね。 ◆現場に根を張る 事業体制確立で統合効果を ――統合の成果をという期待も大きいですね。 小高根 36都府県と統合して「新しい企業」になったわけですから、中身のある事業2段がもとめられているわけです。全農全体として、それに向けた最適な事業体制へ19年度から移行することにしていますから、肥料農薬部門もどうしたらJAや組合員の負託によりよく応えられるのかを県域も含めて、この1年間、大いに議論して固めていくことにしています。 ――具体的にはどういうイメージですか。 小高根 当然ですが、全国本部と県域で重複する機能は整理していきます。 ――「現場に根を張る」ということは県本部の肥料農薬事業を充実させるということですか。 小高根 県本部の肥料農薬事業を充実させないと、事業の伸展は望めません。人数的には県域に厚く配置するような事業体制が望ましいと思っています。これまでも県域の担当部長たちと協議してきましたし、これからも協議しよりよい事業体制を築いていくつもりです。 ――手数料問題についてもそうしたなかで解決していくわけですか。 小高根 手数料については、全国本部と県本部で二重取りしているような印象を与えているものは整理・圧縮して、商品の競争力に活かせるように取り組んでいきます。そのことで事業2段が組合員にキチンと認識されるようにしていきたいと思っています。 ◆ポジティブリスト対応を 機会に地域営農の確立を 会をあげて最大限の努力を傾注 ――当面の大きな課題として、5月29日から施行されるポジティブリスト制への対応があると思いますが、これにはどう対応していきますか。 小高根 いろいろな課題はありますが、ポジティブリストへの対応をどれだけ完璧にやるかが今年の最大の課題だと考えています。 消費者に安全性を担保する一律基準 ――一律基準の0.01ppmは厳しい基準ですね。 小高根 厳しい基準ですが、国として国産農産物に対する消費者の信頼をえるためにということで決められたわけです。消費者に安全な国産農産物を届けるということでは異論はありませんから、最大限の努力をしていかなければなりません。 ――一律基準が適用されるのはどれくらいあるのですか。 小高根 図がポジティブリストの設定状況です。国内登録農薬331物質と143作物を組み合わせると4万7333件の基準値があることになります。そのうちの41%・1万9514件に一律基準である0.01ppmが適用されます。 ドリフト対策はJAを核に地域全体で ――ポジティブリスト対策の一番のポイントはなんですか。 小高根 農薬を適正に使用していれば基本的に問題はありませんが、それでも問題が起きる可能性があるのが、農薬の飛散(ドリフト)です。いままでは「俺の畑や田んぼに、俺がいいと思ったときに農薬を散布して何が悪い」といえましたが、目的の作物以外に農薬が飛散して残留し定められた基準を超えるとその作物は販売できなくなります。 ――それはJAの仕事でもあるわけですね。 小高根 地域営農の核になるのはJAですから、農家の不安を解消し正しい方向にもっていけるかどうか、JAの力量が問われているともいえますね。 18年度は新生プラン実現のスタートの年 ――最後にこれからの決意をお聞かせ下さい。 小高根 生まれ変わる決意として「新生プラン」を策定したわけですから、それをキチンと実行して評価していただけるように、いままで申し上げてきたことを18年度をスタートに着実にやりきっていきたいと考えています。 |
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(2006.3.24) |
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