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解説記事 |
格差拡大社会の低価格志向に応える事業を進める |
◆個配の伸展と組合員増で事業を維持 まずはじめに全国の生協の05年度の概況をみてみると、日本生協連加盟の会員生協数は626生協(購買生協502、医療生協116、共済・住宅生協8)で前年と変わらないが、加入組合員数は2350万3000人で前年よりも2.6%増え、その総事業高は3兆3316億円で同1.2%増となっている。 ◆強まる低価格志向に応える価格競争力を こうしたことの背景として議案書は「人口減少のなかで世帯構成人数が減少しており、高齢者や若者の単身世帯が増加し、社会のシングル化が進行」、さらに「年金が主要な収入となる高齢者や非正規労働者が増加している若者等を含めて、社会全体に所得格差が拡大し低所得者層が増加して、品質やブランドへの指向と同時に低価格への指向も強くなって」いる。日本生協連の全国生計費調査によれば組合員世帯の収入の月平均は「2000年度以来減少を続け2004年度は前年比98.4%」となっていることや税金や社会保険料の負担が増加しており、消費支出が名目では上昇しているが、実質的には引き続き減少していることをあげている。 ◆負の遺産などを一掃し新たなステップへ 06年度については、05年度は「個配拡大の事業戦略、事業連合による連帯、生協の社会的役割発揮等については、具体的な実践」が進んだが、「04年度の消費税総額表示への対応不足による経営危機の発生から、05年度は03年度レベルへの業績回復が最重点課題となり、事業・経営構造改革の課題はその多くが積み残し」となったので、「06年度は、9次中計の目標達成に努力しつつ、10次中計に向けて基盤整備を行う年」であり、「10次中計を、2010年ビジョンの実行プログラムとして策定するうえで、06年度の到達レベルが大きなポイント」になる。そのため「06年度で、過去の負の遺産や積み残し課題を一掃して、次の新たな発展のステップに踏み出せる、高いレベルの体質を作り上げることが重要」だとしている。 ◆人件費削減と外部委託化で経営構造を改革 このなかで「低価格志向の高まり」に応えた「価格競争力の維持」とともに注目したいのが、「経常剰余率1.5%を実現」するために「人件費構造改革を進め、販売管理費を1ポイント削減」する。そのために正規職員を中心とする「余剰人員対策を正面に据えた人件費削減の徹底」とパートや外部委託への「労働力編成の大胆な転換」だ。 ◇ ◇ ◇ 議案の基調にある「所得格差拡大社会」とそれによる「低価格志向」に応えることが生協事業の基本という考え方は、「2010年ビジョン」や「日本の農業への提言」以降、一貫して日本生協連が主張していることであり、総会議案もその点では首尾一貫しているといえる。そのことが、国内農業とくに産直事業などで生協と提携している産地・農協にどのような影響を与えるのかを注意深く見守っていく必要があるのではないだろうか。 |
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(2006.6.2) |
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