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シリーズ 「再生21」への挑戦―コープこうべ 「愛と協同」の思想を継ぎ |
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「協同学苑」―歴史と記念館
同じ三木市に「協同学苑」(10万)がある。創立70周年事業として1991年開校。「人と夢、愛と協同」が学苑のモットーであり、「新しい時代へ向けた豊かな人間教育」が目標だ。95年震災時は急遽、救援拠点にもなった。かくて数多くの生協人がこの学苑を体験した。勿論全国の農協関係者も同じ。このうち「史料館」を初めて集中的に見学できた。ロッチデール記念館をなぞった正面。日本・西欧の協同組合先駆者コーナーがある。なんといっても二階にある『賀川豊彦』特別展示室。相談を受け、執筆もしたという木工机・椅子の広さに現実感を受けた。充分タイム・トンネルが可能である。多彩な社会運動の合間にどれだけ座る時間があったものだろうか。しかし膨大な著作目録を見ると、寸暇を惜しまずだったのだろう。またコープこうべの歴史年表。95年震災関連展示も、忘れるなとの警句と受けた。 協同組合間提携のこれから かつて1979(昭和54)年2月、神戸市で第5回協同組合間提携全国研究集会が開催された。当時私は全農所属の提携事務局に係わっていた。集会は、ともかくコープこうべ(当時は灘神戸生協)の事業経験に学ぼうということが直接的契機であった。そこで当時の高村専務から、「その場限りでない、戦略的提携が必要」と示唆された。目の前がぱっと開かれた気分であった。この背景には、国際的にはレイドロウの「2000年の協同組合」報告作業の最終段階にあったことが大きかったろう。またコープこうべ自身が長期労使紛争を終結した後であった。また、西ノ宮市鳴尾浜埋め立て用地利用問題が水面下で進み、生協の企画展開が進行中だったこと等であった。 残した課題 中心事業に非店舗の共同購入(協同購入)がある。それについて全く触れることが出来なかった。また店舗直結の自己直営食品工場がある。「六甲アイランド食品工場」(供給高194億3千万円、シェア6.4%、01年度)、阪神友愛食品(株)(3億56百万円、重度障害者・知的障害者雇用による食品加工)等である。協同食品センターも事業機能は同じだ。農協にも多様な食品加工が農村工業として歴史的に存在してきた。だから1925(大正14)年設立以来の伝統を持つコープこうべ食品工場とは、戦前・戦後多くの技術交流をしてきたものと思われる。これらへの言及が足りなかった。福祉関係で「協同の苑」なども見た。勢いがあるように思った。ただし高齢者介護を含めた福祉事業は、総合農協でも本来的な事業である。これらに触れられなかった。今後も多くの交流が行われることを期待したい。(完) |