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シリーズ 農協のあり方を探る−14 |
第23回JA全国大会を前に、JAグループは、「農協のあり方についての研究会」(今村奈良臣座長)に「農協改革」を突きつけられた。全国に先駆けて、昭和37年、福岡市の西隣、糸島半島の1市2町にまたがる14農協2連合会(経済連・畜協連)の合併によって、広域合併農協となった福岡県のJA糸島に、「いま農協に問われるもの」を聞いた。近年の広域合併農協に経営難がのしかかる全国的な動きに対して、JA糸島が今めざす新たな事業展開を聞くとき、なるほど広域合併40年の歴史の重みを実感させる。 「コメが繋いできた」集落と農業をどう守るか (田中久俊代表理事組合長)
来年平成16年度に始まる「米政策改革大綱」は、「地域水田農業ビジョン」づくりを迫っています。もっかその作業に追われていますが、私の危惧しているのは、このままでは「コメが繋いできた」集落と農業が崩れるのではないかということです。JA糸島管内には約3000ヘクタールの水田があります。認定農業者を中心に担い手60戸が担えるのは800ヘクタールです。残りの水田は集落を基礎にした営農集団で守る以外にありません。 「生命産業をめざす糸島農業」 (高田隆治専務理事)
平成7年に策定した「ロマン溢れる糸島農業」は、第一に糸島農業を担う「活力ある人づくり」、第二に消費者に信頼される「すばらしいものづくり」、第三に農を基盤にした「魅力ある豊かな地域づくり」という3つの目標をかかげました。そしてこの「3づくり運動」の具体化が、(1)20億円近くをかけた「営農総合センター」の平成10年完成(通称「糸島アグリ」、園芸流通センター、営農資材センター、営農管理センター)とそれを拠点にした広域農業振興、(2)農地保有合理化事業による農用地利用調整(平成8年完成の二丈町深江地区の取り組みは全国的に有名になった)、(3)行政と連携したJA14支店を単位とした「○○地域づくり委員会」の設置による地域づくり運動でした。 このような取り組みをもとに、一昨年来から策定委員会を組織し、全組合員のアンケート調査をふまえて、平成15年度から19年度の長期農業振興計画「生命産業をめざす糸島農業」を今春策定しました。 そのめざすものは、第一に、トレーサビリティシステムの導入に対応した「安心・新鮮・安全を保証するほんもののモノづくり」、第二に、ほんものの味を食する消費者へ、次世代の子ども達へ、をスローガンに、「ほんもののモノをうるためのJA糸島の販売戦略」、第三に、「糸島農業を発展させる逞しい人・組織づくり」、第四に、「元気活き活き地域づくり」です。 モノづくりとその販売では、糸島のブランドにこだわった市場販売戦略を展開します。カントリーに無洗米施設を設置し、減農薬栽培による無洗米白米販売、果実では「天草」の全国に先駆けての産地化、野菜ではイチゴ(新品種「あまおう」)、アスパラガス、レタスなどに力を入れます。 園芸流通センターの機能を発揮しつつ、(1)米ではすでに実施済みの栽培暦の記帳を野菜にも広げ、(2)地産地消の期待に応える「糸島のファンづくりの販売戦略」として、専業農家も参加する大型直売施設「糸島生鮮市場・ほんものの店」づくりを行政と一体で開設する準備が進んでいます。営農を中心とした経済事業のボリュームアップを追求することなくして、組合員の信頼は勝ち取れないと思います。
JA糸島としては、経済事業の展開方向については方針をすでに確立し、実践段階に踏み出しています。購買事業の黒字(14年度2億2400万円)を筆頭に、経済事業はドル箱です。事業総利益のうち信用・共済事業の占める割合は52%に抑さえられています。 今後の中期3カ年計画や単年度計画では、金融事業の展開方向の検討に力を入れます。 「ガバナンス体制が問われている」 (浦 敏文常務理事)
JA糸島を今日に導いた取り組みのなかで、私が注目しているのは、平成2年から人事制度改革の取り組みに着手していることです。平成5年には、年功型から職能型への賃金体系の転換など、職員の処遇の改革が実施されています。また、職員の資質向上をめざして、資格試験への参加と合格を、管理部門の職員にとどまらず、現場の職員にも例外なく、義務づけています。これからの農協事業を担う職員をどう育てるかという観点なくしては、何事も始まりません。
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