農業協同組合新聞 JACOM
 
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シリーズ 「個配事業」の創造と21世紀的可能性−東京マイコープ
第1回
「合併を経て、急成長中」

今野聰 (財)協同組合経営研究所 元研究員


 

◆首都圏第3の勢力に

さかんな交流会
さかんな交流会

 生協東京マイコープの直近経営データを先ず紹介しよう。総事業高 498億円(前年比108)、1人当たり週利用高7075円(前年比100.3%)。新規加入組合員4.5万人強(前年比117.7%、2002年度)。他に組合員出資金68億円、組合員総数22万3334人(本年2月末)。この消費不況下で、なんとも驚くべき伸び率だ。
 ところで生協「東京マイコープ」と言って、どれほどの農協関係者が知っていようか。それくらいかっては無名であった。だがこの10年間、この生協ほど、生協運動に占める位置が劇的に転換した生協はあるまい。いまや首都圏で、押しも押されもせぬ生協第3勢力を築いたといって良い。この場合、第1勢力とは店舗中心の「多数者生協」論をもったコープとうきょう、さいたまコープなどを思い浮かべればいい。最も普通の運動・事業体だ。また第2勢力とは、共同購入中心で敢えていえば「少数者生協」論を恐れない、生活クラブ生協等を指す。そして元々、東京マイコープは「少数者生協」論の側にいたと思われた時代が相当長い。
 事実、私は1970年代後半、この生協の前身と交流を始めたが、その事実を全農職場の同僚にどう語ったら良いか、迷ったものだった。ところが、ほぼ今から10年前、この生協は大転換した。事業不振の土壇場で「個配」事業を創造したからだ。しかも個配事業に手つかずの友誼生協に広がった。事業連合の役割がそこにあった。しかし「個配」事業がこれほど、この生協を劇的に変えると考えた人はいただろうか。他ならない日本生協連幹部にさえいなかったろう。もちろん農協関係者にはこの事業の意味が見えなかった。農協の伝統的な生活事業自体が予約共同購入中心だったからだ。こうして、この生協の不思議な長い前史に戻らねばならない。

(2003.5.13)


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