農業協同組合新聞 JACOM
   

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シリーズ 「個配事業」の創造と21世紀的可能性−東京マイコープ
第6回
「店舗事業を革新できるか」

今野 聰 (財)協同組合経営研究所 元研究員


◆改革店舗を目指す

地域密着店舗へ
地域密着店舗へ
 さて店舗事業に移ろう。東京マイコープは昨年6月開催の第8回通常総代会で、2003年度下期に改革店舗第1号店を目指すと決議した。その付属資料に「店づくり検討委員会報告書」(2001年10月24日)がある。この生協で店舗展開をどの辺に論点を絞っているかがよく分かる仕掛けになっている。ここでの結論は「店舗事業は組合員への価値(品質、価格、品揃え、サービス)ある提供をおこない、ふだんの生活へのお役立ちを実現し、信頼と支持を得られる店を目指す」とある。当然のことなのに、多くの時間を割いて論議している。「FANFUNクラブ(仮称)」という店舗応援隊を創ろうなどの検討が続いている。

◆ジグザグな店舗展開の歴史

 歴史的経過とは恐ろしい。まず1970年代、辰巳団地から始まった店舗展開論がある。いわば団地のような小域に存在感ある店舗展開である。その後のたつみ生協(Eコープ)は東京湾岸を含んだ店舗展開に広がった。その次が店舗展開の先輩格・旧下馬生協からの引き継いだ資産店舗の活かし方である。ここに来て、店舗所在地が湾岸から都心住宅地に広がってきた。そしてなにやらその先が難しいのである。かくて「改革店舗」論議となった。毎年の年次総代会では必ず論点になってきた。今年度総代会は他の論点が多く消えがちだったが、それでも基調は同じだった。店への期待と心配が入り交じっているからである。ましてや全国の生協店舗事業全体では大型店路線からの転換である。大きな赤字店舗のリストラである。

◆組合員満足の店で個配がドッキング

 先ほどの報告書から特徴点を絞れば、(1)組合員の満足する店、(2)地域にお役立ちができる店、(3)スクラップアンドビルドを極力追求する、(4)生鮮3部門、日配・惣菜を強化した商品ライン、(5)まごころあふれるサービス提供、(6)組合員が積極的に運営に参加する、以上となろう。
 この辺のことを開発責任者である小泉至巧・改革店舗準備室長は以下のことを言う。
 ・下馬、旧辰巳、旧柏市民の店舗運営ノウハウがある程度あって現在に至った。
 ・店舗立地は、450坪程度が好適にあるとは思えない。だからあとは応用で、パルシステムにプラスになる、パルシステムが生きる、そういう店でありたい。24時間営業に近い「フーデックス」150坪(マルエツ)とか、スーパー成城石井各店は参考だが、高いハードルになろう。コープとうきょう板橋店も参考になった。
 ・都内では生協シェアがまだ低い。だからパルシステムだけではダメで、店づくりとなる。下馬生協以来の50年の念願がここにあると思う。
 ・結局店で働く人材つくり(職員、組合員パートを含めて)につきる。そのマニュアルを実験中。だからこそ余分な経費がかかる。コープこうべのコモテック研修でも、大いに学んでいる。あとは生協理念で結集する他ない。
 以上だが、難局ながら小泉氏からは快い感じを持った。それは未来にかけるロマンかも知れない。 (2003.10.28)



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