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トップインタビュー・農と共生の世紀づくりのために |
農家とのふれ合いが農協事業の基礎 JA共済連 新井昌一会長に聞く |
相互扶助の精神で 農業、農村の発展を
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インタビュアー 梶井功 東京農工大学名誉教授 |
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「シリーズ/トップインタビュー・農と共生の世紀づくりのために」では各界のトップの方々に登場していただき農業やJAグループへの問題提起をしてもらい論議を深めることを目的に企画した。国際化が進展するなか農業を取り巻く環境は厳しく、国民の関心の高い食料自給率向上などの食と農の抱える課題は一層重要になっている。こうしたなかどう農業の担い手を育て地域農業を活性化していくのか、さまざまな立場の方の考えを紹介していきたい。第一回はこのほど旭日重光章を受章したJA共済連の新井昌一会長。農業者、農協人としての長年の体験を改めて振り返りながら問題提起をしてもらった。「土の恩恵を忘れる社会であってはならない」と新井会長は強調する。聞き手は梶井功東京農工大学名誉教授。 |
◆「村八分にしても二分の付き合い」 原点から考える共済事業 梶井 新井会長、この度の叙勲、おめでとうございます。長年のご実績が高く評価されてのことと思います。今日はこれまでを振り返っていただきながら農業、農協についてとくに最近お感じになっていることをお聞かせいただければと思います。 新井 まず共済事業の立場で言えば、JA共済をつくった先人の苦労というものをしみじみ感じています。 梶井 村八分にしても二分の付き合いは残してあるというお話、これがまさに農村が持っていた相互扶助の原点だということですね。 新井 そうです。しかし、なかなか認可されずに戦後になってようやく認可されたわけで、制度の成立には相当の苦労があったということです。 ◆現場に立ち現場を肌で感じる 農協に求められる姿勢
梶井 その点が一般の保険会社の保険と違うところですね。その点をもっともっと強調する必要があるし、組合員にも認識してもらわなければなりませんね。 新井 今年度の自然災害共済金支払い額は2000億円を超えると思いますが、それでも支払いについては異常危険準備金の計画的な積み立てもあり、まったく心配ありません。対応についてはまず被災者の身になって対応することを心がけており、そこでより信頼感が得られるものと思っています。 梶井 今年の災害は農村部が多いですから、まさにJA共済なればこそと被災者の方々は実感されていると思います。 新井 JA共済連としても被災地にはできるだけ早く役員が出向くことにしています。トップが来れば地域の人たちも安心しますし、全体像をつかんでいろいろな指示もできるわけですから。東京で聞いた話ではなく、災害の実情を自分で見て肌で感じなければいい判断はできません。 ◆多面的機能の理解を広げる 農政論議は国民視点で
梶井 さて、最近の農政論議についてのお考えを伺いたいのですが、今の農政についてずいぶん財界からの提言、批判などが出ています。それらの提言を見ますと農業に対して農業外からの風当たりが非常に冷たい感じがしますがいかがでしょうか。 新井 以前、経団連との懇談の席で私は、農業の多面的機能の恩恵を受けているのはむしろみなさんたちでしょう、と主張したことがあります。だから、WTOやFTA交渉の場では、財界のほうから農業の多面的機能について外国に主張すべきだと言ったんです。環境、水などの問題で恩恵を受けているわけですからね。もし財界が多面的機能の重要性を主張するなら、われわれ農業側も本当に腹を割った話ができると。 梶井 新井会長のように率直に主張していくことは大事だと思います。農業の多面的機能は、農業という本体が健全に維持されてこそ、付随的な機能として発揮されるものです。その本体をつぶしてしまったのでは多面的機能そのものがなくなったしまうのだということを理解してもらわなければなりませんね。 新井 養蚕連の会長時代、生産者団体と業者、関係行政などが集まって繭の価格決定する場に出席していたわけですが、そのときつくづく憤慨を覚えたのは、もう川上の仕事はいらない、すべて輸入すればわれわれの仕事はできるんだという主張です。 ◆農村社会の価値への評価を 自らもその維持に取り組もう 梶井 先の見通しがあれば若い人たちもやるわけです。展望を与えていないということが現在の最大の農業・農政問題だということですね。 新井 そうです。それと担い手を育成することは必要ですが、心配しているのは一部の担い手だけで農業生産はできないということですし、また、農村というのは食料を生産するだけの場ではないと思います。 梶井 私も、圧倒的多数の現実に農業を担っている人たちを施策対象外にする担い手政策では、農業・農村は崩壊してしまうのでは、と心配しています。皆が協力して地域を維持し発展させてきたのが現実ですし、それを強化するような方向こそを現場からは政策に求めていると思います。 ◆何のための一斉推進か 事業の基本としての「ふれあい」は今こそ大切 新井 この事業はJA共済なんだ、という原点をしっかり押えるべきだということです。 ◆農の魂を忘れずに仕事をしなければならない 梶井 営農指導でなくても個々の組合員の営農実態がどういうものであるかをつかんでいて、その実態に合うような対応をすることが大切だ、組合への信頼、組合との一体感もそうしてこそ培われるということですね。ところで、会長職は大変多忙だと思いますが、今でも農作業はやっておられるのですか。 新井 畑のすべてじゃないですが、少しは。今はホウレンソウですね。農を忘れないためでもありますが、やはり農業をしていないと農家の人と話が合わないですから。 梶井 それはJAは組合員と表面だけで接するのではなく深く組合員の心を耕さなければならんということでもありますね。今日はどうもありがとうございました。
(2004.12.13) |
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