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明日の日本農業をつくるIPM |
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◆全域で特別栽培米・ひとめぼれに取り組む JAいわて南(今野忠夫組合長)は、岩手県の最南端に位置し、義経や藤原三代など多くの史跡が残る一関市・平泉町・花泉町を管内に、平成10年に誕生した。JA販売事業の約6割を占める米を中心に畜産・園芸など、地域の特性を活かした農業が展開されている。 ◆独自の試験で効果や問題点を確認 農薬の成分数を8成分に減らすが、穂いもちとカメムシ防除ははずすわけにはいかない。除草剤は1〜2成分で防除できればいいが、抵抗性がついていることなどから3成分に。育苗箱処理剤もはずせない…。と各ステージを見直すなかで、種子消毒で何かいい薬剤はないかと考えていたときに、クミアイ化学のトリコデルマ菌を活用した微生物農薬「エコホープ」に出会ったと吉野課長。 ◆生産者の理解を深める努力が必要 トリコデルマ菌は、化学農薬のように直接病原菌に殺菌力を発揮するものではなく、催芽〜出芽期の過程で種子表面で大量に増殖して病原菌の生育・増殖を抑え発病を制御する。そのため、出芽後に種子や培土表面にカビがでることがある。 ◆難防除雑草などに対応できる基準設定を いま吉野課長を悩ましているのが、雑草の防除だ。新しい雑草の侵入や抵抗性雑草など難防除雑草が増えており、現在の農薬成分数では防除できなくなったり、防除すれば特別栽培米基準から外れてしまうからだ。最近の薬剤は、薬量を少なくして環境負荷を低減し、しかもピンポイントで効くものになっている。だから、成分数でカウントするのではなく「有効成分の投下薬量の低減も何らかの形で反映できるように考慮して欲しい」し、「雑草で雑草を抑える」ような方法も研究開発して欲しいと考えている。
「安全性に優れ、環境に優しい、顧客から信頼される製品を開発する」ことを品質方針に明記しており、「IPMの精神は、経営方針とも合致している」とクミアイ化学の永山孝三研究開発部長。そういう意味で、いま同社が力を入れているのが微生物農薬と環境への負荷が少ない化学農薬の開発と施用技術の確立だ。 ◆環境負荷の少ない農薬も開発 「水稲はIPMが比較的進んでいる作物」といわれるが、とくに、種子消毒や作付け面積の70%程度で使用されている育苗箱処理剤の果たしている役割は大きいといえる。 ◆野菜・果樹分野でもIPM確立に貢献していく また、野菜・果樹類の灰色かび病に対する微生物農薬エコショット(登録申請中)や天敵に影響が少なく昆虫に選択的に殺虫効果を示す殺虫剤、さらには昆虫寄生性微生物を用いた微生物農薬などの開発・導入も進めており、園芸分野でのIPM確立に貢献するとともに、JA全農のIPM推進事業にも積極的に参画したいと考えている。同社では今後も、微生物農薬の開発と同時に、化学農薬の開発でも「選択性が高く、投下薬量の低い環境に負荷の少ない農薬をいかに低コストで提供できるか」を追求していく。
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(2005.4.4) |
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