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米価下落を考える=米流通業界からの提言 |
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15年産の米価高騰と下落は米卸業界に大きな打撃を与えた。その在庫が16年産価格のかつてない下落につながっている。価格の乱高下と需要減退の一方、米流通・販売面では安全・安心対策、JAS法への対応も求められた。米流通の自由化のなか、三橋社長は「今こそ産地と業界が連携を強めるとき」と強調する。米産地への期待と提言を聞いた。聞き手は北出俊昭前明治大学教授。 |
◆消費者の米不信とJAS法
三橋 15年産米から16年産にかけて価格がかつてない乱高下をしたわけですが、これはまさに自由化の証ということなのでしょう。そういう意味では、自立の必要性を感じさせられた1年だったという気がします。それこそ自己責任が明確に問われる、だからこそ自立しなければ、ということだと思います。 北出 具体的にはどこに現れていますか。 三橋 やはりJAS法の改正です。それも1粒たりとも表示と異なる品種の混入があってはならないという。昔では考えられません。 北出 流通自由化の一方で新たな法律への対応も迫られたということですね。
三橋 実はJAS法にきちんと対応できずに依然として不信感を持って見られ、働く人が誇りを持てないようであれば、もうこの商売をやめる、それとも投資をし、考えられるあらゆる対策をとって混入のない商品を製造するか、そのどっちかだと考えたんです。
北出 生産者にとってもこの問題は重要です。乾燥調製機をいちいち清掃するなど負担もかかりますが。 三橋 私も、1粒たりとも、という議論が前面に出すぎるのはよくないと思っています。
三橋 以前は米の価格はほとんど安定していましたが、最近は乱高下の幅が非常に大きいですね。これは自由化の波という明確なメッセージだと思います。これをいけないというわけにはいかず、自由化の宿命ということでしよう。だから備えがなければなりません。 北出 今、JA組織はJA米を基本に安全・安心な米を供給するという運動に取り組んでいます。これをどうお考えですか。 三橋 もちろんいいことだと思っていますが、課題は流通との連携ではないでしょうか。たとえばある先進的な農協では米の30kg袋1袋づつにバーコードを入れている。それによって生産者を特定することができますね。しかしながら、大変残念ですが私どもの工場では30kg単位では精米しませんので、互いの意図がマッチしないということになってしまいます。 三橋 それから、もっと根本的な問題として生産サイドの方とともに取り組みたいことは全体のコストの見直しです。流通コストの削減の問題もありますが、生産から流通までトータルコストをどうすれば下げられるのかをしっかり考えるべきだということです。 北出 生産者にとっては何とか価格を維持できないかということから需給調整にも取り組んできましたが。 三橋 先ほども指摘したように価格が上昇すれば需要は減退してしまうという状況ですよね。価格を維持しようとすれば需要が減ってトータルマーケットも縮小し、生産量も減っていってしまうと思います。 北出 改革のためにはどんなことが必要でしょうか。 三橋 米づくりのモデルケースをつくる必要があると思います。こういう工夫をすれば経営が成り立つな、と思えるような姿がいるんじゃないでしょうか。やはり農業をやればこういう夢が実現するという指針を与えることが今大事ではないでしょうか。
北出 需要に応じた生産、売れる米づくりも課題だといわれていますが流通業界からはどう評価しますか。 三橋 実は売れるものを作るということは大変なことですよね。何が売れるか分かりません。だから、売れたものが売れるものなんです(笑)。
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