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シリーズ・どっこい生きてるニッポンの農人(1) |
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一方、平場農家は稲作が中心であったが、転作作物としてグリーンアスパラを導入し、今では産地として定着している。集団転作が進められており、現在多くの農業集団が組織化されている。開発団地入植者と地元農業者は交流が少なく、地域全体としての連携や交流活動は、ほとんどなかった。 平成9年度、県は「農村地域6次産業推進事業」を制度化した。旧世羅郡の3町(世羅町、西世羅町、甲山町)はこの事業を導入し、観光農園や加工販売女性グループの直売所、産直市場の農業者が、横の連携を深める活動を開始した。それらの活動の中で、マネージメントセミナー、農産物加工や栽培研修などが実施された。そして、研修会などの参加者の中から、フルーツや花農園代表、女性起業代表、産直市場代表などが選出され、ネットワーク設立に向けた準備を重ねた。 11年7月、32団体で『世羅高原6次産業ネットワーク』が結成された。会員は法人経営の農園、産直市場、女性グループ、集落単位の組織、農協などで、高校駅伝で全国的に有名な県立世羅高等学校も含まれている。ネットワークの組織づくりは、「6次産業」というキーワードに集まってきた個人や集団が、様々な活動をする中で、最終的に地域が活性化するという新しい手法だ。会員は現在、46団体、812名で、地元応援団5団体、ファンクラブ100名を数える。
「ネットワークとは、ゆるやかな連帯です。仲間づくりを進めるための手段だと、捉えています。それぞれが経営体であり、経営安定のための連帯だと思っています」と、会長の上田隆三氏は語る。氏は世羅大豊農園の組合理事長をしている。同農園は梨生産が主力であるが、経営する“山の駅”でネットワーク会員の生産物の販売や情報提供を行うなど、助け合いの精神を生かした活動も行っている。
「広島市のひろしま夢プラザで年2回行うせら高原フェア、商品のブランド化、販売協力、研修会・共同イベントの開催、シンポジウム、講演会などの活動を行っており、ネットワークの利点を発揮し多くの人を巻き込んで盛り上がっています。やはり、協同の力はすばらしいものです。個人では販売力やPRなどに、限界があります。1×2×3=6次産業の主旨を生かし、ネットワーク会員が力を合わせれば、かなりのことができると思います。生産を上げ、売上を伸ばし、所得を伸ばす。これが6次産業の効果だと考えてます」。一人より二人、二人より三人と多くの人の協力で、みんなが豊かになる、協同の考え方がそこには生きている。今都会から、年間100〜120万人が世羅高原を訪れる。もっと多くの人に世羅高原を知ってもらうためには、ネットワークで築き上げてきた「せら」という名を“ブランド”にまで高めることだ、と上田隆三氏は訴える。
ネットワーク会員で、チューリップを中心とした観光農園を経営している吉宗誠也氏を、経営する旭鷹(きょくほう)農園に訪ねた。「私が行っているのは、観光農業です。生産者+サービス業だと思っています。お客さんに満足してもらうことが、なによりのサービスです。4月〜5月には一面チューリップが咲きます。リピーターの方が飽きないように、花の色の配置を変えるなど、お客さんに喜んでもらえるよう努力しています」と、サービス業としての花作りの難しさ、楽しさを語ってくれた。また、ネットワークについては、「6つの花観光農園で、“フラワーびれっじ”を組織し、定例会を持ちながら情報交換、共同PRなどを行っています。6次産業ネットワークは、異業種の方と情報交換ができることが利点だと思います。多くの人から情報を得て、広い視野で、将来展望や自分のめざす方向が見えてくるような気がします。世羅高原を訪れるお客さんに対しては、会員の情報を互いに提供しあい、ネットワーク全体として歓迎する体制ができていると思います」と語り、お客さんにリピーターになってもらう必要性を強調する。
18年4月の開園を目標に、町内の一角に世羅町農業公園の整備が進んでいる。農業公園では、ワイナリー、街の特産品販売・レストラン等、町外の人にアピールできるような施設計画が検討されている。 |
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(2005.1.12) |
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